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トヨタ自動車など、溶液法によるSiC結晶成長のポテンシャルの高さを実証

大下 淳一=日経BP半導体リサーチ
2013/10/01 06:00
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会期2日目のキーノートセッションを控えた講演会場
会期2日目のキーノートセッションを控えた講演会場
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 SiCパワー半導体関連の国際学会「ICSCRM 2013」(2013年9月29日~10月4日、宮崎県フェニックス・シーガイア・リゾート)の会期2日目に開かれたセッションMo-2A「Solution Growth & Others」では、溶液法によるSiC結晶成長に関する成果が相次いだ。溶液法は、Siの融液にC(炭素)を溶け込ませ、液相状態から結晶を引き上げる手法である。熱平衡状態でSiC結晶を成長できるために現行の気相法(昇華法)に比べて結晶品質を高めやすく、結晶の成長速度も1mm/時を超える水準に高められるとされる。液相での結晶成長はSiでは既に標準技術だが、SiCでも最近、注目度が高まっている。

30mm厚の結晶成長に成功

 今回、溶液法による結晶成長に関して招待講演を行ったのがトヨタ自動車と新日鉄住金の共同グループである(講演番号Mo-2A-1)。講演タイトルは「Surface Shape-Controlled Solution Growth of 4H-SiC bulk Crystal」。SiC結晶成長中の成長表面の形状を制御することにより、スムーズな(凹凸の少ない)結晶表面を実現した成果だ。1インチ径の4H-SiC結晶で30mm厚、2インチ径の4H-SiC結晶で12mm厚を成長することに成功している。このうち1インチ品は2000℃で120時間をかけて成長させたもの。30mmという結晶厚さは、溶液法で成長させたSiC結晶として、これまで報告された中で最も厚いという。

 今回の手法では、SiC結晶の口径や厚さによらず、全面にわたってスムーズな結晶表面が得られることが大きな特徴だ。転位(欠陥)密度の低減効果も大きい。例えば貫通らせん転位(TSD)の密度を10cm-2未満に低減できるとしている。

 名古屋大学の研究グループは、溶液法による4H-SiC結晶成長中に、種結晶を高速に回転させることの効用を検証した(講演番号Mo-2A-2)。種結晶の回転速度を20rpmという一般的な速度から150rpmにまで高め、1900℃で25mm径/1mm厚のSiC結晶を成長させている。この結果、従来の溶液法に比べて高速に結晶を成長できることが分かった。シミュレーションの結果、種結晶を高速に回転させると溶液中のC濃度が結晶成長面の近傍で急峻に変化し、これが結晶の成長速度を高める要因になることが分かったという。

 R&D Partnership for Future Power Electronics Technology(FUPET)などの共同グループが検証したのは、溶媒の組成が結晶成長に与える影響である(講演番号Mo-2A-3)。従来はSiにCを溶かした溶液を使うことが大半だったが、今回はSi-CrやSi-Cr-Alといった従来とは異なる組成の溶媒を用いた。2インチ径/3mm厚の4H-SiC結晶を、2040~2050℃で24~36時間をかけて成長させており、結晶成長速度は130~150μm/時である。Si-CrやSi-Cr-Alの組成では高速に良質の結晶を成長でき、特にSi-Cr-Al組成では結晶表面の転位欠陥を従来手法に比べて低減できるという。

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