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【MWC】100倍の容量増を1/10のコストで、SK Telecomが見せるスモールセルへの進化

堀越 功=日経コミュニケーション
2013/03/01 18:45
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写真1●「Super Cell」というコンセプトの下、3段階のフェーズでスモールセルを進化させていくという
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 スマートフォン拡大によるトラフィックの急増をどのようにさばいていくのかは、世界の携帯電話事業者が直面する共通の課題だ。課題の解決の一つの方法として、セルのサイズを小さくして容量を拡大していくスモールセルの取り組みがある。

 韓国の大手携帯電話事業者SK Telecomはスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2013(MWC2013)」の会場内で、「100倍の容量拡大を10分の1のコストで」という目的の下、「Super Cell」というコンセプトを打ち立て、段階的にスモールセルの取り組みを進化させるロードマップを示している(写真1)。今後の携帯電話事業者のインフラがどのように進化していくのかを知るうえで、参考になる取り組みだ。

 Super Cellの取り組みは3段階のフェーズで進めるという。

 フェーズ1では、マクロセルの中にマクロと同じ周波数帯を利用するスモールセルを配置し容量拡大を図る。いわゆるHetNet(Heterogeneous Network)の構成だが、両者で同一周波数帯を使うためマクロセルとスモールセルのエッジの部分で干渉が生じ、スループットが低下する。この干渉を抑制するために、同社では3GPPのRelease 10で規定された「TM-9(Transmission Mode 9)」などを使って解決していくという。

 TM-9は基地局と端末間の送信規定の一つであり、それぞれの端末ごとに異なる復調のためのリファレンス信号(DM-RS)を使う。これを使ってマクロセルとスモールセルが協調動作することで、セルエッジの干渉を抑制できるという。

 実際にMWC2013の同社ブース内では、スウェーデンのエリクソンと共同で、TM-9を使ったマクロセルとスモールセルの協調動作のライブデモを実施(写真2)。エッジ部分のスループットを改善できる様子を見せている(写真3)。このフェーズ1のSuper Cellは、Release 10に対応した端末が必要になる。そのため同社は2014年頃の導入を目指しているという。

写真2●フェーズ1のライブデモ
マクロセルからスモールセルへ端末が移動する状態をシミュレートし、セルエッジでのスループットの変化を見せていた。スウェーデンのエリクソンと共同で実施しており、同様の内容はエリクソンのブースでも見られた。
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写真3●フェーズ1のセルエッジのスループット改善効果
赤が協調がない通常のLTE、黄色いがTM-9を使って協調した場合のスループットの変化。通常のLTEではマクロセルとスモールセルの境界にあたる部分で著しくスループットが低下しているが、TM-9を使った協調動作ではセル間のどの位置においても安定したスループットを見せている。
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 続くフェーズ2の取り組みは、基地局のベースバンドユニットとラジオユニットを分離し、ベースバンドユニットを集中管理することでセル間を協調動作させる。さらにスモールセル側でマクロセルと異なる周波数帯も活用することで、さらなるパフォーマンス向上を図る。

 最後のフェーズ3の取り組みは、マクロセル側に制御信号などコントロール系の処理をまかせ、スモールセル側はデータの送受信に徹する形を採用する。これによってスモールセルのさらなる効率的な運用を目指す。現在、3GPP Release 12で検討されている考え方であり、NTTドコモが「ファントムセル」、エリクソンが「Soft Cell」と呼ぶコンセプトと同様である。

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