サードパーティへの期待はどのようなものがあるでしょうか。

小林 これまでにはない発想を引き出すには、何らかの形でソニーの外の人に入ってもらう必要があります。ソニーが考え付かないところを外部に求めるという考えです。

石井 例えば「日本に住む日本の社員」が企画するサービスやアプリではリーチできる層が極めて限られてしまいます。

小林 ユーザーがスマートフォンを触っているときのほとんどの時間は、サードパーティの方々が作るアプリケーションで、それも多くはそれぞれの国や地域向けに作られたアプリだと思っています。

 ソニー製のアプリやサービスを実際にユーザーが使っているのはスマートフォンを触っている時間のごく一部。ほとんどの時間はソニーの外部、しかも地域ごとに用意されるものが使われているのがスマホの特徴です。これまでのソニーの商品とは全く違います。

 ユーザーが大半の時間を使う、それぞれの地域にあるサードパーティの方々のアプリケーションによって、Xperiaの楽しみを最大限に引き出してもらえれば、Xperiaの価値をさらに引き上げることができると考えています。

具体的な支援活動としては、どのようなことをお考えでしょうか。

石井 商品側でいうと、世の中には製品のOSは複数が混在しています。そのために外部のアプリ開発者は、各OSに対応するのに相当疲弊していると聞きました。そんな環境の中で例えばWeb技術をもっと活用することにより、外部の開発者がマルチスクリーンに対応しやすくなると考えています。

 マーケティング的な視点では、事例として紹介し、販売促進することもできます。ソニーとしては彼らを囲い込むことはせずに、ソニーのチャネルに載せて世界展開させることを考えています。

小林 ソニーとしても、いろいろなカテゴリーのアプリを出しています。しかし、社内で他のカテゴリーの人に「Xperiaのためだけに作って」と言ったとしても、誰一人として作ってくれません。iPhoneなどにも対応するのは当然だと思っています。Xperia限定という発想ではなく、Xperiaならもっと面白い体験ができるという形でアプリが準備され、それをしっかりと我々が訴求することが重要です。同じような関係が、社内の担当者とだけでなく、外の方とも生まれると良いと思っています。

加藤 今は囲い込む時代ではありません。面白いアプリについては、今回の展示会のようにソニーのアセットをうまく活用することでサードパーティーの方々に対しては発表の場の提供、ソニーにとってはそういう面白いアプリによって魅力的なデバイス連携の形をお見せできます。さらにこれらを各地域の販売会社が店舗でソニー商品と共にプレゼンすることが考えられ、サードパーティとソニー双方に集客効果があります。このようにWin-Winの関係が築けるわけです。

小林 日本にいる方には意外かもしれませんが、ソニーショップは全世界で2000店を超えます。その数と質は他社には他社には負けないものです。そういう場を使ったサードパーティの方との連携を模索していますが、それがうまくいけば他社がまねようと思っても、簡単に追いつくことができない強力なプラットフォームになります。今その方向を目指して鋭意努力しているところです。