Coreプロセッサの性能を引き出す冷却機構

 ThinkPad Helixは分離・合体機構ばかりが注目されがちだが、Beck氏によれば、設計上の大きな工夫は冷却にあるという。ThinkPad HelixをクラムシェルのノートPCのように使用する場合、キーボード側に用意された背面フラップに若干の隙間が生まれ、そこに空気の流れができるようになっている(写真5)。同じくキーボード側にある2個の冷却ファンが別方向に回転することで、空気を効率的に流しているという(写真6)。

写真5●ThinkPad Helixの背面フラップ<br>ノートPC状態ではエアフロー用の隙間ができる。
写真5●ThinkPad Helixの背面フラップ
ノートPC状態ではエアフロー用の隙間ができる。
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写真6●ThinkPad Helixの背面フラップの内部<br>冷却ファン用の通風口が2つ確認できる。
写真6●ThinkPad Helixの背面フラップの内部
冷却ファン用の通風口が2つ確認できる。
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 このフラップと2個のファンにより、他社のコンバーチブルやセパレート型のPCとは一線を画した冷却効率を実現しているという。タブレットPCは一般的に冷却が難しい。液晶ディスプレイはもちろん、プロセッサやメイン基板、バッテリといったPCのコンポーネントがすべて詰め込まれているためだ。Atomと異なり、発熱量の大きなCoreプロセッサ搭載タブレットでは、2つの設計可能性があるという。

写真7●ThinkPad Helixのタブレット部の通気孔<br>右隣のSIMカードスロットと大きさを比べてみてほしい。
写真7●ThinkPad Helixのタブレット部の通気孔
右隣のSIMカードスロットと大きさを比べてみてほしい。
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 ひとつはタブレット背面に冷却のためのスリットを設け、冷却ファンによって積極的に熱を排出するという方法だ。しかしこの場合、スリット付近を手で持てなくなるため、タブレットの使い方に制限が生まれてしまう。そこでThinkPad Helixでは、タブレットの上面と下面にわずかな通気孔を設け、タブレット全体に空気を流す方法を採用したという(写真7)。これにより、ユーザーの使い心地が向上しているとのことだ。

 タブレットをキーボードに逆向きにドッキングし、倒した状態では、フラップが閉じてしまう。エアフローはやや制限されるが、本体の冷却機構を利用できるという。

 この結果、ThinkPad HelixのTDPはノートPC状態で17W、ドッキングしたタブレット状態で13W、タブレット状態で9Wとなる。「ここまでCoreプロセッサの性能を引き出したコンバーチブルUltrabookは、初めてではないか」(Beck氏)と自信を見せた。

 なお、1月7日にインテルはプレスカンファレンスで7W版の第3世代Coreプロセッサを発表し、レノボも「IdeaPad Yoga 11S」に採用している。これを採用しなかった理由としては、「パフォーマンスを優先したこと、それからタイミングが合わなかったことが挙げられる」(Beck氏)という。