2013年のテレビは「クラウドサービス+大画面4K高画質」
説明会でPC以上に大きな時間を割いて説明したのはテレビ事業についてだ(写真11)。
2012年より東芝は「4Kテレビに本気で取り組む」と公言してきた。この流れを受けて深串氏は、2013年のテレビ戦略として「クラウドサービス+大画面4K高画質」というキーワードを挙げた(写真12)。
東芝の調べによると、国内における51型以上の大型テレビ市場は急速に拡大しているという。具体的には2011年上期に6%だった構成比は同下期に14.2%に拡大、2012年上期には17.3%、同下期には21.6%と、2年で3倍以上に伸びている。また、71型以上の大画面テレビも着実に増えており、全体的な大型化のトレンドは継続しているという。
このような大画面化のトレンドの中、東芝は「画面サイズ」と「高精細さ」をもとに独自の「感動指数」を定義(写真13)。中小型テレビでは十分だったフルHDも、55~65型という大画面においては画素の荒さが目立ち始め、感動指数が低下するという。そこで2013年以降、さらに普及が進むとみられる大画面テレビにおいて、「東芝の4K技術で、感動を最大化していきたい」(深串氏)という。
具体的には、4K映像処理用のエンジンと高精細4Kパネルを組み合わせた東芝独自の「シネマ4Kシステム」により、4K高画質を実現。ブルーレイディスクの映像を、「ほぼ4K映像」(水平解像度90%)に復元できるという(写真14)。これにより「すでに家庭で保有されているブルーレイの映画を、4K画質で楽しめる」(深串氏)。4Kの液晶パネルについては、東芝が製造しているものではないが、液晶パネルメーカーと常に連携して改善を図っているという。
また、4Kテレビの画面サイズについて「84型」「65型」「58型」といった複数のラインナップを用意し、他社との差別化を図るという(写真15)。84型については難しいものの、「65型・58型については1インチ1万円を切る価格を実現したい」(深串氏)として、価格面でも競争力を追求する意向を示した。東芝の計画では、58型以上における4Kモデルの比率について、2013年度に40%、2014年度に70%、2015年度には90%にまで高めていくという。
テレビにおけるクラウドサービスについては、2012年10月に日本市場でサービスを開始した「TimeOn」を紹介。これまで番組単位だった選択機能をシーン単位に細分化。ニュース番組の中からゴルフのシーンだけを再生するといった視聴スタイルを可能にした。深串氏自身も、「正月のゴルフトーナメントや、AKB48の出演シーンだけをまとめて楽しむことができた」とメリットを語った。2013年春には北米にもクラウドテレビを展開するとのことだ。