マイクロシステム技術のあらゆる側面についての研究結果を報告する毎年恒例のイベントを現地からレポートします。
IEEE MEMS 2013
【The 26th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems】2013年1月20~24日、台湾・台北
目次
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【MEMS2013続報】非冷却型赤外線センサ、検知部の極薄化で高感度に
2013年1月に開催されたMEMS関連の国際学会「IEEE MEMS 2013」では、非冷却型赤外線センサの熱検知部の厚みを10nm未満にして感度を高める技術が発表された。熱容量が小さくなるため、測定対象物が放射する赤外線を熱検知部が受けた際に温度がより上昇して感度や反応速度を高められる。
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【MEMS 2013続報】単結晶Siの曲げ加工、μmサイズなら350℃でも可能
2013年1月に開催されたMEMS関連の国際学会「IEEE MEMS 2013」では、μmサイズの単結晶Siを350℃で曲げ加工できることを実証した発表があった(論文番号:031)。これまで単結晶Siは、mmサイズの材料での実験結果から、600℃以下で力を加えてもまずは弾性変形し、さらに力を大きく…
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【MEMS 2013続報】10cmの気圧差を検知できる絶対圧センサ
2013年1月に開催されたMEMS関連の国際学会「IEEE MEMS 2013」では、分解能が1Pa未満の絶対圧センサに関する発表があった(論文番号:090)。10cmの高さの違いを検知できるため、自動車用ナビゲーション・システムで走行中の道路が地上か高架かを認識する用途に使える可能性がある。聴診…
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【MEMS 2013続報】ゲイツ財団が支援、スマホによるマラリア検査技術
2013年1月に開催されたMEMS関連の国際学会「IEEE MEMS 2013」では、「A HANDHELD, CELL PHONE-BASED ELECTROCHEMICAL BIODETECTOR」(携帯電話機を使った生体検知器)と題する発表があった(論文番号:3B1-1)。小型の使い捨てカー…
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【MEMS 2013続報】真空封止できる加速度センサ技術、ジャイロと1チップ化しやすく
2013年1月に開催されたMEMS関連の国際学会「IEEE MEMS 2013」では、真空パッケージ内で高精度に動作する3軸加速度センサの発表があった(論文番号:3A-2)。角速度センサ(ジャイロスコープ)とともに1チップ化し、1パッケージに収めやすくなる。一般に多くの加速度センサは大気圧レベルか…
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【MEMS 2013続報】眼球にDDS、外部磁界で薬液投与を制御
2013年1月に開催されたMEMS関連の国際学会「IEEE MEMS 2013」では、革新的な医療技術の実現に向けた発表がいくつかあった。そのうちの一つは、眼球の組織に薬液を与えるDDS(薬物送達システム)機能を持たせたMEMSデバイスである(論文番号1-1)。眼球の後ろ側(露出していない側)に取…
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【MEMS 2013続報】ウエハーから任意チップを剥離し別ウエハーへ移植
2013年1月に開催されたMEMS関連の国際学会「IEEE MEMS 2013」では、異種デバイスを高度に統合するためのパッケージング技術に関する発表がいくつかあった。そのうちの一つは、チップの仮貼り合わせと剥離に関する技術(論文番号:002)。ウエハー・レベルで、MEMSチップを信号処理チップに…
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【MEMS 2013】低損失なワイングラス振動子の発表相次ぐ、米DARPA関連で
今回の「MEMS 2013」では、3次元的なワイングラス振動子の発表が3件ありました(論文番号:8-2,8-4,105-Mo)。米国の友人に聞くと,DARPAでHemispherical Resonator Gyro(HRG)を超小形化するプログラムが行われており(MRIG program),10…
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【MEMS 2013】民生品よりずっと高精度にできるジャイロ、米大学が発表
一口にジャイロと言っても,ランダムウォークにして0.01deg/√s程度のローエンド品から0.0001~0.001deg/√h程度のハイエンド品まであります。ローエンド品はナビゲーションや手振れ防止を目的としたもので,MEMS振動ジャイロはこれに相当します。
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【MEMS 2013】着実に進化している圧電材料
MEMSは微小「電気機械」システムですから,電気-機械変換(electro-mechanical transduction)はMEMSにとって最も重要な機能の一つです。したがって,電気-機械変換を行う圧電材料は,MEMSにとって非常に重要な機能材料です。PZTは鉛を含みつつも性能や扱い易さから,依…
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【MEMS 2013】次回はサンフランシスコ、「企業枠」とチュートリアルが新設
2014年の「IEEE MEMS」が、米国サンフランシスコ市で開催されることになった。新たに、企業が発表するためのセッションと、開催初日にチュートリアルを解説する「ショートコース」が設けられる。
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【MEMS 2013】日本が応募数でトップ、採択では米国に次ぐ2位
MEMS(微小電子機械システム)に関する学会「IEEE MEMS 2013」(1月24日まで台湾・台北で開催中)では、論文発表に先立って行われた「ウエルカム・アドレス」において論文の傾向が示された。国・地域別の投稿(応募)数で日本が最多、採択数では米国に次いで2位だった。応用分野別では、最近の研究…
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【MEMS 2013】携帯電話機向けセンサの発表に見る中国と日本の技術力
台北で開始中の「IEEE MEMS 2013」は,特にアカデミア主体の国際会議ですが,今年も産業界向けに目に留まった発表を速報します。
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【MEMS 2013】狭き門をくぐったのは306論文、MEMS学会が開幕
MEMS(微小電子機械システム)に関する最大の学会「IEEE MEMS 2013(The 26th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)」が、2013年1月20日、台湾・台北で始まった。今回は、776件…