図1◎「Eliica」の第1期プロトタイプ車の公道実験車
図1◎「Eliica」の第1期プロトタイプ車の公道実験車
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 慶応義塾大学は東京モーターショーで電気自動車「Eliica」の第2期プロトタイプ車のデザインモックアップを展示した。Eliicaは8輪にインホイールモータを搭載し、最高速度370km/hを達成した電気自動車。

 Eliicaはこれまで第1期プロトタイプ車を2台制作している。1台は最高速度に挑戦した「記録挑戦車」、もう1台はナンバープレートを取得して公道走行できる「公道実験車」だ。
 
 今回展示したのは、室内空間を拡大し快適性を高めた第2期プロトタイプ車の1/5モデル。デザインは2種類あり、A案が従来のEliicaに近いもの、B案がモノフォルム形状で、フロントウインドーが前進し、リアが切り立った形状になっている。
 
 いずれのタイプも室内空間を拡大するために、全高を100mm高くし、ホイールの小型化、ホイールベースの拡大を図った。この結果、Cd値が現状では0.20程度と第1期プロトタイプ車の0.19に比べてやや悪化しているが、今後改良を進めて0.18程度を目指すとする。
 
 第2期プロトタイプ車は、実際に販売するために必要な安全性の検証も目的という。同大学環境情報学部教授の清水浩氏は、「3回車両を作り直して商品化したいが、第2期プロトタイプ車は実際に売るつもりで作る」と語る。2回目で量産化のための構造を検討し、衝突試験などを行うことで、3回目の車両は小規模な修正で済むようにする意向だ。
 
 どちらのデザインを選ぶかは、モーターショーでの意見や各種の調査を行って決める予定。また、ボディ構造についても量産化に適する構造を検討している最中で、アルミニウム合金を中心としたスペースフレーム、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)によるモノコックを候補としている。
 
 清水教授は「量産化に向けての開発は開発費が桁違いに増すので、その資金を集める仕組みを考える必要があるが、今後2年間で第2期プロトタイプ車を完成させたい」という。

図2◎手前側のA案は第1期プロトタイプ車に近い
図2◎手前側のA案は第1期プロトタイプ車に近い
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図2◎B案(手前)はキャビンフォワードで、リアも切り立っている
図2◎B案(手前)はキャビンフォワードで、リアも切り立っている
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