図1 電気自動車「ランサーエボリューションMIEV」
図1 電気自動車「ランサーエボリューションMIEV」
[画像のクリックで拡大表示]

三菱自動車は,Liイオン2次電池を使った電気自動車「ランサーエボリューションMIEV」を出展した(図1,2)。今回展示した車両の2次電池は同社の関連会社であるリッセル製。電流容量95Ah,電圧14.8Vのモジュールを24個搭載した。電池のエネルギー密度は130Wh/kg。

 現在,四国EVラリーなどに出場するなど走行試験しているランサーエボリューションMIEVの車両にはジーエス・ユアサ コーポレーションのLiイオン2次電池を利用している。この2次電池は先代の電気自動車「エクリプスEV」に搭載していたものを乗せ替えて,性能劣化などのデータを収集しているという。ジーエス・ユアサ コーポレーション製の2次電池モジュールについては「約3年ほど使っているが,容量の低下が数%以内と非常に高性能」(担当者)なことを明らかにした。

 三菱自動車では,2006年に発売予定のガソリン・エンジンを搭載した軽自動車「アイ」の電気自動車を2008年に発売する計画を立てており,「ランサーなどの中型車でも2010年ころをメドに電気自動車を投入したい」(担当者)としている。一方,ランサーなどより大型の車種についてはハイブリッド車の投入を既に検討中という。

 同社は電気自動車の市販化に向けて2次電池の量産体制や充電スタンドといったインフラ構築についての検討も始めている。2次電池の量産については部品メーカーだけに頼るのではなく「何らかの形で三菱自動車も関わることになるだろう」(担当者)としている。

 実際,関連会社であるリッセルには三菱自動車が20%出資しているのに加えて,TDKが20%出資している。しかもTDKは2005年5月にLiイオン2次電池を生産する香港Amperex Technology Ltd.(ATL社)を約1億米ドルで買収し,電池事業の足掛かりを得ている。

 さらに,このATL社は米Apple Computer, Inc.が2005年9月に発売した携帯型音楽プレーヤ「iPod nano」向けにポリマ型のLiイオン2次電池を供給するなど品質と量産体制は確立されており,自動車事業への参入も十分考えられそうだ。

 一方,電気自動車で問題となる充電スタンドの整備については,電力会社の協力により50kVAの電力を使った急速充電スタンドを整備するほか,三菱自動車の販売店にも設置する方針だ。

図2 床下に搭載したLiイオン2次電池
図2 床下に搭載したLiイオン2次電池
[画像のクリックで拡大表示]