トヨタ自動車の「ハリアー/クルーガーハイブリッド」がいよいよ発売された。トヨタは初代「プリウス」を皮切りとして、「エスティマハイブリッド」「クラウン・マイルドハイブリッド」「アルファードハイブリッド」を販売してきたが、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)にハイブリッドが加わるのはこれが最初となる。いよいよと言った理由は、2代目となる現行プリウスの発表が行われた折、ハイブリッドSUVの商品化をトヨタは公表していたからだ。

図1◎「ハリアーハイブリッド」。

 ハリアー/クルーガーハイブリッドのハイブリッドシステムの構成は、基本的にプリウスと同じである。遊星歯車を使った動力分配機構が無段変速機として機能するため、発進から最高速までの加速中に変速に伴うショックが全くない。また、エンジンの駆動力の約70%を発電に利用するため、エンジンよりもモータの運転寄与率が高く、走行中の静粛性は非常に優れている。ひとたび、この感触を味わってしまったら、もはやガソリン車に乗り換える気は起きにくくなるのではないか。そう思うほど快適性は高い。

 ハリアー/クルーガーハイブリッドは、既存のV6エンジンを流用する。プリウスのような高膨張比エンジンとは組み合わせていない。国内仕様のハリアー/クルーガーのV6エンジンは排気量が3.0Lだが、ハイブリッドでは北米向けの3.3Lエンジンを組み合わせている。したがって、このエンジンだけでも、出力155kW、トルク288N・mの性能を誇る。加えて、駆動用モータは出力123kW、トルク333N・mの性能を持ち、この二つを組み合わせ、最大効率の運転が行われることになる。

 さらに、この駆動用モータの出力は減速ギアを介して前輪に伝えられる。減速比は2.478で、実際の駆動トルクは825N・mに増幅される。「ポルシェ911ターボS」の最大トルクが620N・mだから、このトルクがどれほど大きなものであるか、ある程度想像がつくのではないだろうか。