2013年から日本でも米国発の「サードウェーブ(第3の波)コーヒー」関連の話をよく耳にするようになっている。2015年2月には、サードウェーブコーヒーを代表する米BLUE BOTTLE COFFEE社の日本1号店となる東京・清澄白河店がオープン。オープン当初は、数時間待ちの行列となり話題を呼んだ。このコーヒーの新たなるムーブメントは、なぜ世界で注目を集めているのか。なぜサードウェーブと呼ばれるのか。サードウェーブの本質は何なのか。これはコーヒーだけの現象だろうか。今回はそれらについて考察したい。

コーヒーの三つの波

 サードウェーブコーヒーと呼ばれるので、過去には「ファーストウェーブ」(第1の波)と「セカンドウェーブ」(第2の波)があったはず--そう思って調べたところ、コーヒーの歴史には大きく三つの波があった。

①ファーストウェーブ(19世紀後半~1960年代):大衆化
 コーヒーが一般家庭に広まり、一般的な飲み物になるまでの流れ。インスタントコーヒーや缶入りコーヒーなどが大量に流通するようになった時代だ。

②セカンドウェーブ(1960年代~2000年ごろ):品質とスタイル
 コーヒーの存在感が高まった後、コーヒーの味を重視する動きが始まる。さらに、都市の中でのコーヒーを楽しむスタイルが確立された。その代表格となるのが米Starbucks社であり、そのコーヒーが世界中に広まった。オフィス街ではロゴ付きの紙コップを片手にして歩くのがこの時代の象徴となった。

③サードウェーブ(2000年以降):多様化と持続性
 大量生産・大量消費のモデルとして発展していたそれまでのウェーブに対して、豆の栽培、選定、焙煎と淹(い)れ方など各々の工程に注力する。日本の純喫茶のように、一杯一杯のコーヒーを丁寧に淹れ、コーヒーの味と時間を楽しめるようにすることに主眼を置く。コーヒーの栽培地への配慮もなされ、コーヒー本来の価値が注目されるようになっている。