今回のテクノ大喜利では、「新時代を迎えるロボット産業と半導体」をテーマに、世界的に急速に熱を帯び始めたロボットの技術開発と産業育成の動きと、半導体産業の関わりについて議論している。半導体メーカーの視点からルネサス エレクトロニクスの清水洋治氏に回答を頂いた。
ルネサス エレクトロニクス
【質問1の回答】動くモノ全てに共通して適用できる半導体の市場をけん引
ロボット市場には2つの側面の半導体市場成長が見込まれる。
一つは動作に関わる制御系の分野。これはモータードライブや制御系半導体、センサーなどが数多く使われる。関節や指、首と言った部分を滑らかにかつ、機能的に動かすには、半導体とモーターの組み合せが膨大に使われることになる。顔の表情を作ろうとすればさらにモーターを数多く使うことになる。
ヒト型ロボットではないが、ドローンやお掃除ロボットもモーター関連の半導体とモーターの塊である。ドローンはプロペラの数だけモーターユニットが使われる。クアッドコプターなら4個、オクタコプターなら8個。最も多く使われる部品がモーターだと言ってよい。ヒト型ロボットにはそれ以上のモーターユニットが使われる。腕を一つとっても肩、肘、手首、指(5本)、片側だけでも動作が発生する部位は8か所もある。ヒトを模倣した動きを作るには多くの半導体が必須になる。
当面は電力やコストの問題があり、価格や性能とのトレードオフがあるだろう。それでも、ロボット産業が成長するには、上記コンポーネンツが大量に必要になることは間違いない。モーターの効率を上げるために、ドライバーチップばかりでなくパワーデバイスも数多く用いられることになると思う。
もう一つの側面は、ロボットを動作させる頭脳。プロセッサーがロボットの数だけ必要になる。しかも二つの頭脳が必要になる。判断する頭脳と観察する頭脳である。前者はクラウドを介しての人工知能やディープラーニングなどで処理され、後者はリアルタイム性と正確さがキーなる。
いずれにしてもロボット産業が成長すれば、半導体産業にも上昇気流は吹くことは間違いない。