「総論賛成、各論”大”反対」の設計標準化

 設計標準化は、多くの企業でこれまで幾度となく取り組みを実施している。どの企業も設計を効率化させたくて設計標準化することの必要性は理解している。基本的には総論賛成である。しかし、実際に標準化のためにさまざまな整備活動を行っても、なぜ定着しないのか。それは、設計者が各論では“大”反対だからである。つまり、従来の設計標準化が間違っていたのである。設計標準化と聞いて、あなたはこんなふうに思ったことはないだろうか。

「我が社の強みは、千差万別の顧客要求に応えることだ。だから、標準を押し売りするようなビジネスをしていたら勝てない」
「とがった企画を立てようと思うと、標準なんて守っていられない」
「標準は創意工夫を奪うものだ」
「一部の機種では成り立つかもしれないが、多くの機種では最適設計をしないとコストが合わない」

 どれも、もっともな感想である。多くの人は、総論として設計標準化を進めた方がいいと思い標準図などの整備活動を実施する。ところが、実際の案件でそれを使う場面がくると、顧客要求が特殊だから/千差万別だからという理由で使われないことが多い。効率化と千差万別の顧客要求への対応をバランス良く実現する標準をつくらなければ、個別の顧客要求に対応できない“使えない標準”が出来上がってしまうだけである。

「大は小を兼ねる」は競争力を奪う

 従来の設計標準化でありがちなのは、部品の種類を減らすことが目的になっているものだ。具体的には、部品の種類を減らすとともに、複数の製品で共用することを前提とした標準部品の図面(標準図)を整備し、その組み合わせだけで製品を設計しようというわけである。

設計標準化への誤解
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