みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。

 光陰矢の如し、であります。担当編集者が交代してから早一月。
 初めの一本目こそ落としてしまったものの、以降は順調に月曜掲載が続いております。
 新体制になったばかりで気が張っている部分もあるのですが、遅れぬ理由は、なにより新担当のS馬氏が「遅延は絶対に許さない」、という鉄の意志を持った人間であるからです。
 それが証拠に、約束の時間を過ぎると、やんわりと次のようなメールが飛んできます。

ナウなヤングの街・目黒にて、新体制決起集会が開かれました。羊の置き物を被りおどけてみせるのですが、イマイチ弾け切れていない新担当S馬氏。この先大丈夫なのでしょうか

 “今週のフェルさんの記事も好調でした。
 月曜日になるとすぐにランキングトップにあがってくるのを見ていますと、毎週楽しみにしている読者がたくさんいるのがよくわかります。
 来週(7月13日)の原稿もどうぞよろしくお願いいたします。
 お忙しいところ恐れ入りますが、ご提出のメドが見えていましたら教えていただけると助かります。どうぞよろしくお願いいたします。”

 いきなり「遅ぇじゃねぇかバカヤロー!」と怒らず、初めに今週も好調だったと持ち上げるところが逆に怖いです。そして後半では、丁寧な言い回しながらキッチリ提出の時間を聞いてくる。

 行間から「貴様、原稿を放り投げて今夜も女と遊びに行くつもりやないやろな。あ?」と三白眼を剥いているのが見えてくるようです。ですから私も、つい調子の良いメールを返してしまう訳です。

洋楽専門のムーチョS馬氏(本集会にて、彼のニックネームは“ムーチョS馬”と決まりました)。女性のいる店に来ると途端に表情が和らぎ、メートルが上がる極めて分かりやすいお人柄です。ちなみにムーチョとはスペイン語で、「もっと」とか「たくさんの」という意味です。より上を求める、より高いステージを目指すという思いが込められた、非常に崇高なネーミングであります

 “お待たせして大変申し訳ありません。本業で急な打ち合わせが入ってしまったものですから。帰宅次第早急に追加部分を書き上げ、日付が変わる前にお送りするようにいたします。フェル拝”

 無論打ち合わせなんてウソですし、まだ一行も書いていないのですから、追加部分もクソも無いのですが、ともかく何か返事をしないとヤバい雰囲気です。すると程なくして、また下記のような返事が飛んできます。

 “フェルさん
 お返事ありがとうございます。スタンバイしておきます!”

 「スタンバイしておきます!」。これがまた怖い。
 言ったな? お前、日付が変わる前と言ったな。よーし上等だ。それまで編集部で待っているからな。来たらすぐに入稿作業に取り掛かるからな。遅れたらタダじゃ済まねえぞコラ。

 彼は暗にこう言っているのです。恐ろしい。かくして今週も無事月曜掲載と相成ったわけであります。編集って大変ですね。

 そうそう。編集といえばこちら。マガジンハウス社刊のTarzanの担当編集者がまた代わりました。Tarzanで連載を開始したのは2008年の3月ですから、既に8年目に突入しているのですが、その間に何と都合6人の編集者にご担当いただくこととなりました。

 今回僅か1年で交代してしまうのは堀越さん。彼は自衛隊の企画やらル・マンの取材やら、興味のあることを好き放題やらせてくれたのでとても感謝していたのですが、短い期間で交代となってしまいました。私が何か重大な過ちを犯してしまったのかも知れません。大変申し訳ございません。

 新担当となるのは初の女性担当松浦さんです。
 ご苦労なさるのは見えていますから、最初から謝っておきますね。  どうもスミマセン。

担当を離れることが決まり思わずほくそ笑む前担当堀越氏(右)、自分の身に何が起きたのか未だ理解できず、呆然と立ち尽くす新担当松浦女史(左)。真ん中で黙々と編集作業に打ち込む大田原編集長。何か言いかけて立ち上がったものの、思い直して席に戻る麻坂副編集長。各人の性格が現れた、非常に貴重なショットであります

 しかしTarzanの編集部ってキレイですね。