みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。

 今回のヨタは飲食特集を駆け足でお送りします。

 まずはこちら。銀座の久兵衛、かねさかを経て独立された、天賦の才に加え弛まぬ努力の人、齋藤孝司氏の店、「鮨 さいとう」です。

ご覧くださいこの見事なトロ。口に入れるとフワリと崩れる淡雪のようにかれんで、それでいて力強い、芸術のような握りであります

 現在の便利なビルの中に移転する前は、自転車会館の中の秘密基地のような場所にありました。ミシュランの三ツ星を連続で獲得しても傲らず高ぶらず。フランクな齋藤氏の人柄もこの店の魅力の一つでしょう。しかし予約は見事に取れなくなりました。6月に行って、「年内はもういっぱいで……」というのですからたまりません。また来年伺いましょう。

丸の内に本社を移転し、益々盛業のマンションデベロッパー、モリモト。今回は同社社長の森本浩義氏、専務の柏木二郎氏とご一緒させていただきました。柏木氏とはトライアスロン仲間なのであります

 お父上はメチャ怖い方との噂だったのですが、とても優しく、また繊細なお方でありました。事前に私の著書や連載などにも目を通しておられ、過去のエロ連載にまで話が及び、汗顔の至りであります。

 お次はこちら。私が愛してやまない新進焼き鳥の名店「鳥幸」。その鳥幸にフレンチのテイストを注入した「鳥幸 フレンチ」が6月末にオープンしました。

これはまたぜいたくな。ふんわりとレアに仕上げた親子丼にたっぷりの黒トリュフ

 「焼き鳥でワイン」を楽しもうという趣向で、ソムリエの大家、大越基裕氏が監修したワインが、焼き鳥の串ごとに少量づつサービスされる仕組みです。串が12本であれば12種類のワインが供されるわけでして、これは楽しめます。

お店はオープンキッチン形式で、カウンター席のみ、25席。キッチンでは威勢のいい職人さんが忙しく立ち働いています。見ていてとても気持ちが良い

 まあアレです。完全にデート向きのお店です。恵比寿には良いバーがたくさんありますから、ここで食事をして、近くのバーで仕上げれば完璧なデートとなりましょう。後は貴兄の腕次第、ということで。

 鮨の紹介をもうひとつ。富山空港と富山駅のちょうど中間地点にある「鮨人」です。

富山ナンバーワンの呼び声も高い鮨人。新幹線が通り便利になりましたが、こんな素晴らしいお店があるのなら、金沢まで行かなくてもOKです

 鮨人の特徴は赤酢を使ったシャリにあります。実は酢を使う鮨飯には結構な量の砂糖が入っているのですが、マイルドな赤酢を使うと、その量を抑えることができるのです。鮨人の使う赤酢は長い時間をかけて熟成させたものなので、ツンとした酸味がなく味の調整は塩を加えているだけです。

 ご主人の木村泉美氏は建設やコンサルの仕事を経て鮨職人になった変わり種。師匠は持たず、完全に独学で鮨をマスターしたのだとか。「ネタを切って握るだけですから」と照れ笑いをしていましたが、死ぬほど勉強されてきたことは間違いない。若い衆さんにはすべて具体的な数字で指示を出しているのが印象的でした。

独学で鮨をマスターされたという木村泉美氏。賄い食は無く、「鮨や和食に拘らず、様々なものを食べるのが勉強」と、必ずスタッフそろって外に食べに行くそうです

 あらら、短くしなければいけないのに、ついヨタが長くなってしまいました。
 メシのことを書き出すと止まらないなぁ、これらのお店に関しては、実はまだ書きたいことがたくさんあるのです。これは時を改めて全編ヨタの飲食特集を組まなければあきまへんな。新担当S馬さん、いかがなもんでしょう?