Yデスクご乱心


 Yデスクいわく、「いろいろと使うから」とのことである。具体的な目的はいまいち不明だったが、Yデスクの熱意に感化され、ひと仕事を終えてから夜、Yデスクと共に都内の量販店に向かった。量販店に着くや否や、急にテンションが上がったYデスク。

「おっ、懐かしいなあ、これ。昔作ったなあ」
「1個1000円しないじゃないか、予算はそれなりにあるから、“大人買い”できるね!」
「悩むね、根津君。ガンタンクは外せないよね。シャア専用ゲルググ、必要かなあ」
「もう予算オーバーしても自腹を切るから、これも買っちゃおう!」

 そう言いながら、買い物かごに次々とガンプラを入れていく。聞けばYデスクは、子供の頃、1980年代のガンプラブームの真っ只中におり、当時ガンプラを思うように買えなかったそうだ。その反動が来たのだろう。見事な大人買いで、かごはみるみるうちに一杯になる。しばらくすると、4つのかごにガンプラが山積みになった。その数は、およそ25個にも上った。

 このたくさんのガンプラをレジで精算しようとして、冒頭のように店員に外国人観光客と誤解されたのである。聞けば、中国や韓国などのアジア地域の観光客が、ガンプラを爆買していくという。

 「我々のようにたくさん買うのは当たり前なんですか。というよりも、むしろもっと多いんですか?」とたずねると、「そうですね。もっと多く買われる方はけっこういますね」との答えが…。どうりで店員は20個以上のガンプラを見てもまったく動じないわけだ。

 「一度にこんなにガンプラを買う人はいないから、驚かれたり、気味悪がられたりするのではないか」と、Yデスクと興奮気味に話していたのが少し恥ずかしい…。爆買、恐るべし。

 ちなみに、後日掲載された日経ビジネスオンラインの記事によると、ガンプラの出荷数の3割は既に海外向けとのこと。その中心にあるのが、アジア地域である。量販店で爆買の実態を知った私には、納得の事実だ。

 さて、レジで計算すると、(私の)予想通り、合計金額は予算をあっさりオーバー。ということで、予算を超えた分はYデスクに自腹を切っていただいた。それでもYデスクはご満悦の様子。これならば、日経テクノロジーオンラインのガンプラ企画の将来は明るい。読者の皆様、現在企画進行中です。楽しみにお待ちください。

Yデスクと仲良く持ち帰りました