ITを核に進化する新しいスポーツビジネスの姿
IT(情報技術)をはじめとする技術とスポーツの関係は、これまでに以上に密接になろうとしている。第3回は、技術革新によってもたらされる新たなスポーツ関連ビジネスの可能性について述べたい。
まず、スポーツは、通常のビジネス環境以上に国際的な市場の動向と密接に結び付いている。これはIOC(国際オリンピック委員会)や、FIFA(国際サッカー連盟)といった国際的な組織や競技団体が、ルールや国際大会の開催場所、会場のレギュレーションなどについて決定しているという市場構造があるからだ。
そして、この国際的な市場環境は、徐々にではなく、いきなり国内に押し寄せてくる。
例えば、日本では今年、野球の国際大会「プレミア12」が開催され、2019年には「ラグビーW杯」、その翌年には東京五輪がやってくる。この5年だけでも、スポーツの大きな国際大会の開催が目白押しなのだ。
そこで、何が起きるのか。具体的に言えば、まずは老朽化したスタジアムやアリーナの新設、改修が必要になってくる。これは、国際大会を追い風に急ピッチで進むはずだ。さらに、これからのスポーツ施設は、各種センサーや映像、通信など技術を駆使したスマート化が必須になっていく。
スポーツ施設のスマート化は、既に国際的な潮流だ。例えば、テニスの主要な国際大会では「ホークアイ(Hawk-Eye)」というシステムの導入が標準になっている。
これは、審判によるボールのラインイン/アウトの判定を補助するシステムだ。1秒間に60コマで撮影できるカメラを6台設置。その画像を解析することで、ボールの正確な位置を割り出し、インかアウトかを自動判定する。テニスの4大大会などのテレビ中継で、ライン際のボールの様子を表示する3次元グラフィックス映像を見たことのある方は多いだろう。
興味深いのは、このシステムが単なる判定の目的ではなく、試合を盛り上げるエンターテインメントとしても活用されている点だ。