近年、輸送機器などの軽量化技術ではマルチマテリアル化が進んでおり、構造材料間の接合技術が重要となっています。マルチマテリアル化を進める際、中心的素材となると考えられる鉄鋼や、アルミニウム、マグネシウム、チタンなどの非鉄金属、炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの樹脂の接合に関する技術開発状況を整理・把握せねばなりません。こうした背景のもと、特許庁は「平成25年度特許出願技術動向調査」において、構造材料の接合技術に関する特許の出願動向を調査し、技術革新や技術競争力の状況を明らかにしました(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)はこちら)。同調査の要点を本稿で紹介します。
本調査では接合技術を大きく「溶融接合」、「ろう接」、「固相接合」、「機械的接合」、「接着」およびこれらを組み合わせた「ハイブリッド接合」に分け、構造材料として輸送機器やプラントなどの比較的大型の機器用の材料や、橋梁や建築物といったインフラを構成する材料など機械的強度を要求される材料を調査対象としました(図1)。
日米欧が先行して技術開発、中国の出願件数が増加傾向
特許出願件数推移をみると、2001年以降、毎年1500件程度の出願が継続しています(図2)。出願人国籍別では日本国籍の出願件数が35.2%と最も多くなっています。2001年から2004年までは日本国籍、米国籍、欧州国籍による出願が先行していましたが、2005年より中国籍の出願件数が増加しています。