まるでプロスポーツのスター選手のようだ。

 165億5600万円ーー。

 6月19日、ソフトバンクが提出した有価証券報告書で、2014年度にニケシュ・アローラ氏に支払った報酬総額が明らかになった。アローラ氏は孫正義社長から「最も重要な後継者候補」に指名され、同日の株主総会での承認を経て、代表取締役副社長に就任した。孫社長は株主総会で「私の期待の星」と紹介した。

 同氏の報酬総額の内訳は、短期報酬が145億6100万円で、株式による報酬が19億9500万円だ。総額には一時金が含まれている。ちなみに孫社長の役員報酬は1億3100万円。保有する自社株から100億円の配当を受け取っている。

 東京商工リサーチによると2014年の日本企業における役員報酬の最高額は、田辺耕二ユーシン会長兼社長の14億500万円。しばしば高額報酬が話題に上る日産自動車のカルロス・ゴーン会長兼社長は9億9500億円だった。アローラ氏の報酬はそれらをはるかに上回るばかりか、世界的に見てもトップレベルだ。

 アローラ氏を迎える前、孫社長は筆者のインタビューで後継者と報酬について語っていた。このほど上梓した書籍『孫正義の焦燥』では触れていないインタビューを紹介する。

経営者の高額報酬に対しては反発もあります。孫さんは経営者の報酬についてどのように考えてますか。

孫正義:アメリカのゴールドラッシュの時に西海岸に命懸けでカーボーイがどんどん行ったというのは、結局のところ一攫千金だから。銭金のためにというのは浅ましいと思うかもしれないけれども、やっぱり何がしかの夢がないとさ、本当に命懸けで勝負するかよと。

 インセンティブが大事なんだよね。ましてや、ちょっとしたインセンティブじゃね、これはあかんて。