三反田 今は高齢化率が高いので、日本は最先端でいろいろなものを開発していますけど、海外に目を転じるとそうではなくなりつつあります。医療などは、実は東南アジアの方が最先端で日本を抜こうとしているじゃないですか。

藤田 そうですね。医療や介護は、それこそ日本の基幹産業と位置付けてやっていかなければならないと思いますよ。何だか暗いイメージばかりではいかんですよ。

三反田 久弥(さんたんだ・ひさや)。パラシュート 代表取締役社長。2000年に、一生付き合える仲間作りをテーマに若手経営者の会である「若手商店街」を設立。現在、北海道、関東、東海、関西、九州、沖縄の6支部があり、会員数は約400社を数える。現在、全国代表理事。他に日本介護協会常務理事やグローバルキャリア協会理事などを歴任する。(写真:加藤 康)
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三反田 荒川さんの会社は、介護分野向けのシステムはやらないんですか。

荒川 興味はありますよ。「こんなことは、できませんか」と話したいアイデアはたくさんあります。

 でも、介護分野は大手が開発したパッケージソフトを単純に導入しているケースが多いんです。今、ネットシステムで手が出ないのは、同じ切り口で勝負しても勝てないだろうなと思うからですね。

藤田 当社は結構、いいものありますよ。例えば、施設の運営についてはレクリエーションも含めてほかの会社にコンサルタンティングできる水準にあるんです。それをITを使ったeラーニングにできると思っています。実は、開業までのコンサルタントは、実際に介護ビジネスを体験したプロではないことが多いから。

荒川 面白いですね。

藤田 営業のマニュアルも蓄積しています。200ページ以上あるんです。そうしたコンテンツを用いたコンサルタンティングは既に手掛けていますが、IT化したら可能性が広がりますよね。当社だけで全国のすべてをやることはできないから。

 介護業界は「ボランティア」「社会福祉」という取り組みから始まっているから、いろいろなタブーがある。おじいちゃん、おばあちゃんを「お客さん」と捉えて、それで利益を上げるということがよくないことのようにいわれることが多いんですよ。

 でも、業界の中で「タブー、タブー」と言いながら、自分たちが利益を上げる努力をせずに、国に向かって「お金を出せ」というのは違うと思うんです。介護施設の経営者によっては、「介護は、きつくて、しんどくて、給料が安い」と発言する人もいます。でも、それは自分の生活を懸けて、会社を信用して仕事をしている従業員に失礼な言い方やと。絶対にいうたらあかんと思う。

 不動産会社で頑張った人の中には、独立して不動産業を始める人がいるし、自動車ディーラーで頑張った人は中古車屋さんとして独り立ちする人とかが少なからずいますよね。ところが、介護業界に就職した人で介護施設の経営者として独立する人は、ほとんどいない。それではだめで、夢を持ってもらえるようにならないと。

 でも、今日初めて会って話をして思ったんだけど、北陸と四国は何だか似ていますね。

荒川 確かに。何か一緒にできるといいですね。

藤田 本当にね。ぜひぜひ。

(この項、終わり)

(写真:加藤 康)
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