三反田 それはそうでしょうね。
藤田 東京の介護施設の話を聞くと、僕が予想していた売り上げ規模よりもかなり高い。ということは当社のやり方でビジネスを手掛けたら、“もっとよくなるかも”と考えるんですよ。だから、介護分野は「地方発信で首都圏へ」というビジネスは大いに成り立つと思う。
荒川 ええ。東京に出て行くと、人口がグンと増えますもんね。
藤田 荒川さんが手掛けているITによって、時間と距離という格差はもうなくなったと同じなんです。本社をどこに構えていてもいい。最近は、「地方」ということをあまり感じなくなってきました。だって、香川から東京まで飛行機で1時間とちょっとですからね。
東京まで出てくると「遠いところをよくいらっしゃいました」と言われるんですけど、新幹線で大阪に行く方が時間がかかりますからね。
荒川 福井も同じですよ。小松空港まで行って、飛行機で1時間半です。首都圏なら同じ時間を掛けて通勤している人も多いですよね。逆に地方の方が早く移動できて、行動できているんじゃないかと思うこともありますよ。
藤田 東京に来て「四国から来ました」と話すと、「タヌキが出るんでしょ」とか言われるんですよ(笑)。出ませんから。
リアル開発会議 先ほど、首都圏から地方に進出した介護施設は苦戦していると話していましたけど、なぜ苦戦するんですか。
藤田 介護ビジネスは、「建物ありき」というところがあるじゃないですか。「きれいな建物があるといい」とか、「医師がやっている施設がいい」という感覚ですね。でも、これが成り立つのは首都圏だけじゃないかなと思うんです。
でも、地方では医師がやっている施設は苦戦する傾向があります。なぜかといえば、営業の発想が薄いからです。当社のようにスタッフ全員で営業をしていたり、「脱・介護保険」という発想でビジネスを展開していたりするところはほとんどないので、そこは差異化ポイントですよね。
首都圏の会社は、人口の多い、非常に恵まれた環境にあります。僕たちは、自分たちで呼んでこなければ利用してもらえない環境で、地方の限られたリソースで知恵を練っています。先ほども言ったように、高齢化率は高くても、人口の絶対数は少ないですから。