倶楽部セッテンの今回のゲストは、四国と北陸の企業。香川を中心に介護ビジネスを展開するケア・ステーションの藤田浩司社長と、福井に本社を置いてITシステム開発を手掛けるネットシステムの荒川智之社長である。
 2人とも、サラリーマンを経験して独立した。不動産会社の営業マンから転身し、家族を入居させたくなる介護施設を目指して介護ビジネスを立ち上げた経営者と、地元の中小・零細事業をITシステムで支援するという志で独立した経営者。方法論こそ違えど、地元密着で顧客からの信用を築き上げていく考え方には共通点がある。
左から、三反田氏、藤田氏、荒川氏(写真:加藤 康)
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三反田 ケア・ステーションの藤田さんは香川県を中心に四国で、ネットシステムの荒川さんは北陸三県をメインにビジネスを手掛けています。でも、東京や大阪で仕事をしていると、地方企業との出合いってなかなかないと思うんです。地方の特色も、実はよく分からない。

 これから2020年の東京五輪に向けて日本の地方の注目度が海外で高まって活性化していくと僕は考えているんですが、今日はその辺の話をうかがえれば。まずは、どんな仕事をなさっているか、簡単に自己紹介していただけますか。

藤田 僕は、高齢者向けの介護ビジネスを手掛けています。でも、「介護」という言葉は、あまり使いたくないんです。この言葉には、静と動でいえば「静」、明るい、暗いで言えば「暗い」イメージがありますよね。だから、僕は「高齢者総合サービス」と呼んでいます。

 ケア・ステーションでは、今は主な収入が介護報酬なので、介護保険法に基づいた事業、「デイサービス」「グループホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」をメインに事業を展開しています。

荒川 「今は」ということは、将来的には違ってくると。

藤田 その通りです。介護報酬は介護保険から入ってくるので、それが下がっていくという話が出てくると介護ビジネスには明るいイメージを持たないですよね。

 それでも、事業者はビジネスを広げて収益を拡大していかなければなりません。介護保険での収入に“おんぶにだっこ”では先がないんです。まして、ウチの会社の従業員は若い人が多い。若者が、介護の仕事に夢を持てる、目標を持てる事業にならなければならないのに、マイナスの話だけをしていてもしょうがないでしょう?

 だから、周辺の産業を広く巻き込んで「高齢者総合サービス業」として新しく形をつくっていくべきです。売り上げの中で介護報酬の比率が下がっても、ほかの事業を広げていければいい。

 一般の人は、「介護」という言葉から介護施設だけを思い浮かべますよね。でも、あと10年くらいすると日本では人口の3割が65歳以上という時代になる。そのときに介護施設だけが高齢者に対する取り組みではないと思うんです。自動車やエレクトロニクスのような製造業をはじめ日本の基幹産業が高齢者を意識せざるを得なくなる。それをすべて巻き込んで新しい高齢者総合サービスを築いていきたいですね。

三反田 今の事業は、どんなキッカケで始めたんですか。