川口 最近は、ただでさえ原油価格が下がっているのに、新しいのがどんどん見つかるんだよね。

今井 そうなってくると、再生可能エネルギーは、そんなにたくさん入れなくてもいいじゃないということでしょうか。

山本 いや、そう単純な話ではないはずなんですけどね。

川口 でもさ、直近の話題を見ていると、「再生可能エネルギーって、そんなにたくさん必要なの?」と思っちゃうよ。

(写真:加藤 康)
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山本 これまで再生可能エネルギーは何かあったときの代替で、二酸化炭素を出さない環境低負荷として捉えられてきましたけど、ここにきてさすがに電力に関してはミックスしましょうという話になっています。有効な土地利用のような事情もあって、参入を推進してきたわけです。ただ、ハンドリングする部分に問題があって、蓄電池その他安定電源にするためには別の投資が必要ということは、初めから分かっていたんですよ。

 既存の電力系統に負担がかかるので、それを解決するには、蓄電池をはじめ効率の高い蓄エネ技術が必要だというニーズが後付けで出てきた。それで、今回の特集で出ているNaS電池やフライホイールのようなさまざまな技術の組み合わせを試している段階ですよね。日本なりの組み合わせで、優れたシステムをつくろうと。

今井 そうですね。

川口 うん。メガソーラーにレドックスフロー電池やNaS電池を組み合わせてバッファにする取り組みは正しいと思う。でも、各家庭の屋根に太陽電池を敷いて、リチウムイオン二次電池を入れるというのは、どうなんだろうね。本来はインフラ企業がやるべき仕事を、家庭に買わせるというのは。

今井 確かに。何で、うちの家で払わなければならないんだという…。

川口 「家庭に発電する端末を置いて、電気を蓄えて…」という発想は、社会全体で見て効率がいいとは思えないでしょう?

 送電ロスがあるので「どこに電力をためておくか」については、きちんと最適化しなければなりません。そのためには当然、初期費用とランニングを含めた費用対効果を考えるべきですよね。末端のユーザーのところに置くことは、本当に費用対効果が高いのでしょうか。

 どの程度のサイズ感が最適なのか、私もきちんと計算したことがないから正直なところ正解は分からない。ただ、いろいろなところで試算しているけれども、どれを信用していいかも分からないんですよ。原発の側に巨大な蓄電池を置くというサイズ感も合っていない気がします。だから、感覚的には、消費地に近いメガソーラー程度の規模に蓄電池を置くというのはありなのかなと。

今井 それくらいの規模で、全体最適なシステムは何かについて、真剣に考えた方がいいということですね。