2015年第1四半期(1Q)におけるiPhone 6(4.7型)/6Plus(5.5型)の生産は、両者で状況を異にする。この見方は、先月の当レポートと変わらない。「非常に販売好調」と見られてきた5.5型について、我々は1QにQOQ半減近い生産調整を見込んでいる。一方、4.7型は年明けからじわじわと関連部品需要が上向いており、例年の1Qよりも小幅な調整で済みそうだ。

 5.5型の生産数量(組み立てベース)は2014年第4四半期(4Q)推定実績が2400万台、2015年1Q見込みが1300万台。従来予想(2月下旬時点)の1400万台から再び若干の下方修正だが、傾向に変化はない。販売当初の供給不足、通信事業者からの強い引き合いから増産を続けてきたが、足元では需要が充足されている。販売自体は順調だが、それ以上の量を生産してきたために、足元の生産は一服していると判断する。ただし生産調整は2015年2月で終わり、3月以降は実需に見合う生産規模と見ている。

 一方の4.7型に関しては、2014年4Qに4400万台で、2015年1Qは3100万台から3400万台に上方修正した。同機種は当初から想定通りの供給が続いてきたが、販売が好調なため、2014年末時点で2015年上期の販売見通しが上方修正され、2015年1Qの生産計画が上方修正されたものと推測する。

 上記2機種にiPhone 5sなどの旧機種を合計した予想生産数量は2014年4Qが8100万台(YOY+34%、QOQ+113%)、2015年1Qが5600万台→6000万台(同+60%、-26%)、2015年2Qは5600万台(同+55%、-7%)とYOYでの伸び率は依然として非常に高い。ただし、2015年3Qに新製品(6s/6s Plus)が発売される前提で考えると、2Qの数値はやや高すぎる(ダウンサイドリスクがある)とも言える。2015年1~3月の同社の販売台数がどの程度の水準だったのかは、注視する必要があろう。

 生産数量とのかい離が大きければ、2015年1Qに在庫を積み上げていることを意味し、同年2Qの数値に対する下方修正リスクが高まる。もし販売台数と生産数量の間に大きなかい離がなければ、2Qも高水準の生産が続く可能性が高まるだろう。