最近、何かとロボットが話題になっている。日本は、産業技術総合研究所(産総研)をはじめとして、ロボットの研究は世界でも最先端、最高水準にある。ロボットの内部には幾つもの組み込みコンピューターシステムが埋め込まれており、それらが統合されて動作する。例えば産総研のロボットは主要な関節部分に32ビットのコンピューターシステムが内蔵されており、それらをロボット内のネットワークで接続している。

 ロボットを構成するには、たくさんの小さなコンピューターとソフトウエア、そしてそれらを統合して指令を出す高性能なコンピューターが必要だ。そこには「ミドルウエア」と呼ばれる中間層のソフトウエアが存在している。共通のミドルウエアがあると、ロボットごとに個別に大規模なソフトウエアを開発しなくて済む。

 産総研は「RTミドルウエア(産総研のRTミドルウエアのWebページ)」と呼ぶロボット内の多数のコンピューターシステムが協調するための枠組みと、それを実現するソフトウエアを考案、実装している。それらの分散データアクセスの方式は、既に国際規格になっている。

 私たち「組込みシステム技術協会(JASA)」でも、「OpenEL(OpenELのホームページ)」というロボットなどに向けた組み込みミドルウエアを産総研などと共に考案し、世界規格として提案している。OpenELはRTミドルウエアの下位に位置し、RTミドルウエア用の各ソフトウエアの可搬性(移植性)を高めるものだ(図1)。

図1 ロボット用ミドルウエアのシステム内の位置づけ(OpenELホームページの図を基に作成)