CMOSイメージセンサー(CIS:CMOS Image Sensor)産業は、急速に変化している。Yole Developpement(以下、Yole)の最新レポート「Status of the CMOS image sensor industry 2015(CMOSイメージセンサー業界動向 2015)」によると、携帯電話機市場と自動車市場にけん引されて、CIS市場は2014年から2020年の間に年平均成長率(CAGR)10.6%で成長し、2020年までに162億ドルの規模になると見込まれる。

 いまだにスマートフォンがCISの最大の応用分野であるが、その他の多くの応用分野がCIS市場のさらなる成長を後押しする。大きなビジネスチャンスが出現した応用分野は、自動車と医療機器、そして監視カメラといったところである。これらの新たな分野がCIS市場のけん引に加わり、既存のCISベンダーだけでなく、新規参入ベンダーを巻き込んだ技術競争を加速させている。前述のYoleのレポートでは、こういったビジネスチャンスの全容をカバーした。

市場をリードする3社で合計シェア63%


 市場の力学により、CIS市場は数年の間に様相が一変した。ソニーがトップに躍り出ただけでなく、CIS市場をリードする3社(ソニーと韓国Samsung Electronics社、そして米OmniVision Technologies社)の市場占有率は2014年に63%に達した。これは極めて大きな数字だ。

 設計・製造技術の進化がCMOSイメージセンサーの性能向上を推し進め、それによりCISの応用事例にも変化が生じている。スマートフォンが小型カメラに取って代わり、そしてアクションカメラがビデオカメラに取って代わろうとしている。他の分野では、自動車へのカメラ機能の採用が広がっている。安全性を高める用途だけでなく、車内でのイメージングを自動化する用途に使われるためだ。

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 こうしたCISの応用分野の拡大により、CIS業界の未来は明るい。我々の予測では、CIS市場の規模は2015年には100億ドルに達するだろう。前述したように、CAGRで10.6%という高成長の真っただ中にあるからである。自動車分野や携帯電話機分野は言うまでもなく、医療機器と監視カメラ、そしてマシンビジョンの分野でもCISの採用は急速に進んでいる。