食文化とハイテクを同時に感じさせる一番身近なものが調理家電だ。ハイテクによる調理の便利さから、家庭でも、さまざまな料理、さまざまな食文化を味わうことが可能になった。調理家電については日本メーカーが最強だとずっと思っていた。このコラムの初回も日本の誇りとなる炊飯器を取り上げた。しかし、最近、海外発の調理家電から受けた2つのショックにより、この認識が崩されつつある。

ショック1:一番目立つブランドはPhilips

 筆者がよく行く近所の家電量販店の調理家電売り場は、ほぼ日本製品の土壇場だ、各種の高性能炊飯器や電子レンジがずらり並んでいる。2014年末ごろに行った時、その売り場の空きスペースには、特別コーナーが設けられていた。遠目からも目立つので、それに惹かれて見に行った。置かれていたのは、油を使わないノンフライヤーと、各種の麺を作れる製麺機だ。この2種類の調理家電は既にテレビや新聞で少し知っていたが、特別の売り場が設けられるほど大いに宣伝されているとは正直吃驚(きっきょう)した。

量販店店頭のPhilips社製品の売り場
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 この2つの商品は両方ともオランダRoyal Philips社が開発したものだ。日本食は世界で一番ヘルシーな料理だし、日本の家電は長年世界をリードしている。ラーメンも世界を席巻している。それなのにどうして、そうした日本の企業からではなく食文化が盛んでないオランダにある同社からそのような商品が登場したのか、なかなか理解できない。

 筆者は、家でよく料理するが、油で揚げるのはやはり健康に良くないイメージが強くて、食べたいが、あんまり作っていない。ノンーフライーがあれば、一石二鳥だ。麺も大好きで、新鮮な麺が作れれば、家でもいろんな麺を味わえるので魅力的だ。店員さんに聞いたところ、売れ行きは上々。会社の同僚の中でも、それらを購入した人が増えている。筆者も2015年の正月直前に、まずノンーフライヤーを買った。これは我が家では初めての日本ブランド以外の調理家電だ。ちなみに、製麺機はまだ検討中である。