やさぐれる=家出をすること。「投げやりになる」との意味もあるが、この2人は全く逆である。瀬川秀樹氏と、長岐祐宏氏。2人とも“家出”をしている。瀬川氏は半年ほど前に、長岐氏は1年ほど前に、いずれも大手エレクトロニクス・メーカーを辞した。それぞれ、50代後半と、40代後半での独立。自ら築いた新天地で意気揚々と新しいビジネスの創造に向けて歩みを始めている。会社を辞めちゃったおじさんたちに見えている風景は、どんなものなのか。なぜ、順風満帆だったはずのサラリーマン生活に終止符を打ったのか。研究開発と事業企画と異なる畑の出身ながら、なぜか共通点が多いらしいおじさん2人の「やさぐれ放談」の第1回。

長岐 今日は瀬川さんとの対談だというので、ポイントをまとめた資料を作ってきました。こんな感じでどう?

瀬川 ほー。まずはこれだけあれば、十分でしょう。たぶん、脱線するから。

長岐 これで、今日の僕の仕事はおしまい(笑)。

瀬川 だから、そうじゃないよ(笑)。じゃあどうしようか。普通に進めてみる? それともお互いに「他己紹介」とかやってみましょうか。

リアル開発会議 いいですね。それは面白そうです。まずは、なぜお二人が知り合いなのかを含めて。

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瀬川 もともとは会社から“外れた連中”みたいな人たちが集まる飲み会で最初に顔を合わせたんだよね。僕はリコーで、長岐さんはセイコーエプソンだったから。コピーやプリンター系の裏サミットだなんて言いながら集まる会があって。コピーやプリンターではないビジネスをやりたい人、やっている人が集まった。

長岐 そうでしたね。でも、どこでそういう飲み会があったのか、誰が企画したのかは覚えていませんけど。

瀬川 うん。僕も覚えていない。

リアル 何年くらい前ですか。

瀬川 3年くらい? 5年以上前ではないよね。歳をとると昔のことが最近のことのように思えたりするから…。

長岐 その飲み会には、10人とか20人とか参加してたわけですよ、まあ、10人以上はいた。瀬川さんの部下もたくさんいたし、僕のところのメンバーもいたんだけど、不思議なことに瀬川さんと話して「この人、ちょっと違うな」と感じたわけよ。ただ、そのときは、それでおしまいです。ただ感じただけ。

瀬川 その後に何度かお話しする機会があって。まあ、長岐さんは、「大企業でありながら企業内じゃなくて社外の人たちをいっぱい集めて何かやる」ということばかりをやってきたイメージがすごく強い。何でそんなことできたのかなと思いますね。でも、一方で大企業的な考え方できちんと会社のシステムとか、誰がどういうふうにパワー持ってるかとかが、すごく好きなんだよね。戦国武将のストーリー、好きでしょう?