最近では、あまりユビキタスという言葉を聞かなくなっているようですが、語源であるラテン語の「ubique」は「どこにおいても」という意味です。転じてネットワーク社会では、その目指すところとして「いつでも、どこでも」という意味に拡張して使われているようです。近頃のインターネットサービスの進展を見ていると感じるのですが、技術的な観点では、すでにユビキタス社会は実現していると言ってよいでしょう。その大きな部分を占めているのがWi-Fi環境です。もう家庭やオフィスでWi-Fi環境を整備することは極めて当たり前のことになっていますし、公共の場所であれば、複数のWi-Fi電波が見つけられます。あとは最新のノートブックPCかタブレットPCがあれば、瞬時に世界中の情報にアクセスすることができます。

 問題はスピードとコストです。スピードについては、人間の欲望に限りが無い限り、果てしなく競争が続きます。ところが、コストについては決着がつきそうです。米国の例でみると、列車やバス、駅、空港、ホテル、役所、チェーンレストラン、図書館、病院、イベントホール、ショッピングモールなどでは、なにがしかの無料Wi-Fiサービスが見つかります。以前は有料が当たり前でしたが、一部でWi-Fi環境の中に広告を導入することにより、無料化が図られると、多くの企業や団体が雪崩をうって続き、今では公共の場所であれば、だいたい無料のWi-Fi環境を見つけることができます。要は日本の民放のラジオやテレビと同じことで、広告料でWi-Fiサービスをするわけです。ファーストフードレストランなどの店は、無料のWi-Fi環境を提供することで、客を呼び込もうとの戦略のようです。ただし、なにもしなくても繋がるものは少なく、多くの場合、利用条件を読んで同意することが求められます。このような英文契約に慣れていないと、ちょっと戸惑うかもしれません。最近長距離便の飛行機でもWi-Fiサービスが始まっていますが、さすがにこちらはまだ有料のようです。しかし、いずれ無料化するのは時間の問題でしょう。

ボストン空港のWi-Fi表示