米国の市場調査会社IDCがこのほどまとめたリポートによると、2014年におけるタブレット端末の世界出荷台数は2億3570万台となり、前年からの伸び率は7.2%にとどまる見通しだ。
タブレット端末の世界出荷台数は2013年に前年比で52.5%増え、初めて2億台の大台を突破するなど、それまで高成長を続けてきたが、今年は成長が大幅に鈍化したという。
iPadが初の前年割れになる理由
IDCがその理由として挙げているのが米Appleの「iPad」。推計によると、iPadの今年の出荷台数は6490万台で、前年から12.7%減少する見通しだ。
Appleが先ごろ報告した今年7~9月期の業績結果では、iPadの販売台数は前年同期比13%減の1232万台となり、3四半期連続で前年実績を下回った(図1)。IDCによると、こうした販売の低迷が影響し、iPadの出荷台数は今年初めて年間を通して前年割れになるという。
IDCによると、iPadのほかAndroidやWindowsなど、タブレット端末全体に言えることは、その買い替え周期の長期化。AppleがiPadの初代機を発売した2010年、タブレットの買い替え周期はスマートフォンと同じ2~3年と見られていた。だが、4年たった今になって分かったことは、多くのユーザーが端末を3年以上持ち続けていること。4年以上使い続ける事例も少なくないという。
タブレット端末の買い替え周期は長期化する傾向にあり、それはスマートフォンの周期というよりも、パソコンに近いとIDCは指摘している。IDCはその理由として次の2つを挙げている。
1つは、広く普及しているソフトウエアが今も旧モデルのタブレット端末に対しサポートを続けていること。これは、とりわけ市場を長らく支配してきたiPadで顕著だという。
2つ目は、さまざまなコンピューティングタスクがスマートフォンで代用されるようになったこと。こちらについては、予算に制約がある新興国で機能を1台に集約した機器を求める人が多く、ファブレット(大型スマートフォン)を「1台持ち」する傾向があるからと言われている。
またWebコンテンツの“あとで読む”サービスを手がけている米Pocketはこのほど、iPhone 6あるいはiPhone 6 Plusと、iPadの両方を持つユーザーは、iPadよりもiPhoneを多く利用する傾向があるとの利用実態調査を公表した。
タブレットは、Androidが普及している新興国と、iPadが普及している先進国の両方で、大型スマートフォンの影響を強く受けているようだ。
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