米Google社が開発する自動運転車に注目が集まっています。同社が目指す、無人で走れる自動運転車が実現すると、既存の自動車ビジネスが崩れる可能性があると指摘する声は多く、業界では「Google脅威論」が飛び交います。

 しかし、証券アナリストとして電機業界などを長年分析し、2014年12月8日(月)に開催する弊誌のセミナー「自動車産業、今後10年のリスクを見極める」に登壇するGFリサーチ代表の泉田良輔氏は、「Googleは怖くない」と語ります。

 詳細はセミナーで聞いていただきたいのですが、泉田氏は、最近のGoogle社の財務諸表などを見ていて限界を感じると言います。検索広告以外のビジネスがほとんど育っていないためです。「Google Glass」や自動運転車などを手掛ける「Google X」と呼ぶプロジェクトが注目を集めていますが、これらのプロジェクトから「ホームラン」級のビジネスが出ないと将来は苦しいだろうと見ます。

 泉田氏は、Google社よりも「脅威なのはTesla Motors社」とみます。同氏はバリューチェーンに着目したイノベーター企業の取り組みに関する分析に力を入れています。ここでバリューチェーンとは、製造業ならば研究開発から設計、材料の調達、製造、販売、アフターサービスなどの一連の商売の流れを指します。

 例えば日本の電機産業が崩壊した理由の分析は多くありますが、バリューチェーンの観点で見ると、新規参入者が既存のバリューチェーンを壊したことが大きい。そうしたバリューチェーンを壊せる可能性をTesla社に感じると言います。