2014年10月下旬から11月上旬にかけて、国内大手電機メーカー各社が同年度上期(4~9月期)決算を発表した。総じて、前年度同期を上回る数字を残した企業が多い。一方、現状を一刻も早く打破しなければならない企業の実態も垣間見えた。以下では、ルネサス エレクトロニクス、および東芝と富士通、パナソニック、ソニーの半導体事業の状況を分析してみたい。

 ルネサス エレクトロニクスの2014年度上期は、全社売上高が4169億円(うち半導体が4008億円)、営業利益505億円、当期純利益351億円となった。128億円の純損失を計上した前年度同期からは大きく改善した。

依然攻めに転じられないルネサス

 2014年7~9月期の業績は同年4~6月期とほぼ同水準で、業績は安定してきたように見える。だが同年10~12月期については、売上高で前四半期比14%減、営業利益で同45%減を同社は見込んでいる。中小型液晶ドライバICを手掛けるルネサスエスピードライバ(RSP)を米Synaptics社に売却した影響などが出るという。しかも、決算発表と併せて1800人規模の早期退職実施を発表した(関連記事1)。今年だけで実に3度目のリストラである。

 事業や工場の売却、人員削減など、固定費削減を目的とするリストラが続き、攻めの戦略を打ち出せずにいる状況は相変わらずで、この傾向は当面続きそうだ。注力する自動車向けでもマイコン以外に魅力的な製品が乏しい状況にあり、ここを強化する具体策が必要だろう。

東芝はNAND頼みが続く

 東芝の2014年度上期は、全社売上高が3兆1084億円、営業利益1151億円。うち半導体事業は売上高5670億円、営業利益1062億円(営業利益にはストレージを含む)。実に全社営業利益の92%を半導体が叩き出した。

 同社は電力・社会インフラ部門やコミュニティ・ソリューション部門など、売り上げが下期に集中しがちな事業が多い。通期ベースでは半導体の営業利益貢献度は全社の70%以下に収まる見通しだが、同社の時価総額がほぼ半導体事業の状況で決定されているのが実態である。

 今回の決算発表ではメモリー以外の半導体も黒字化したとしているものの、システムLSI部門の上期売上高は873億円と前年度(1035億円)を大きく下回っており、実質的な収益改善は期待しにくい状況にある(関連記事2)。同社のシステムLSIはもともとソニー向けなど民生機器向けの比率が高く、昨今の市況においては苦戦を強いられていることが想像に難くない。車載やIoT分野での需要創出に注力しているものの、本格的な立ち上げには数年を要するだろう。当面はNANDフラッシュメモリーで全社収益の大半を稼ぐ状況が続く公算が大きい。