――ドイツがインダストリー4.0で狙っていることは何か。
Zühlke氏:ドイツと日本は、工場の自動化技術で長年にわたって競い合ってきた。現在、両国は同等のレベルにあると認識している。だが、自動化技術は新たな時代に入ろうとしている。
個人的な認識では、インダストリー4.0は製造業を“リーン”な方向に向かわせる。現在、技術そのものが転換期を迎えている。そうした中では、以前の失敗を繰り返してはならない。その失敗とは、生産技術がどんどん複雑化し、柔軟性を失うことだ。製品のライフサイクルが短くなっているのに、生産技術が複雑なままだと、その動きに追い付けなくなる。我々は、日本からリーンプロダクションの哲学を学んだ。工場は、現在の複雑性を解消してリーンな方向に向かう必要がある。
――リーンな方向とは具体的にどういうことか。
Zühlke氏:1つの例として工場のエンジニアリングが挙げられる。現在は、まず製造するものを決めて、次に使用する設備を決める、といった具合にシーケンシャルに物事を進めている。しかし、それではエンジニアリングにかかる時間が長すぎる。製品のライフサイクルが短くなると、そんなスケジュールでは間に合わない。
インダストリー4.0では、工場の生産設備もプラグアンドプレイになる。設備を標準的なネットワーク、すなわちインターネットに接続すればすぐに生産を始められるような世界だ。それは、プリンターを買ってインターネットにつなげばすぐにプリントできるのと同じことである。いわば、「レゴブロック」を組み立てるように工場をエンジニアリングするのだ。