味覚センサーの前で話すインテリジェントセンサーテクノロジー創業者の池崎秀和氏(同社代表取締役)
味覚センサーの前で話すインテリジェントセンサーテクノロジー創業者の池崎秀和氏(同社代表取締役)
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 「この昆布は利尻産のうまさですが価格は1/3。買いませんか」。鰹節を扱う食品会社マルトモの幹部は、こう売り込まれて悩んだ。昆布には詳しくないため、自分の舌で確かめる自信がない。そこで使ったのが味覚センサーだ。この幹部は、羅臼、利尻、それ以外と、産地別に旨味と価格の分布を取ってみたところ、やはり高級品ほど旨味があることがハッキリした。持ち込まれた昆布は、値段相応の旨味だったという。「騙されずにすみました」―。

 2014年10月に味覚センサーメーカーのインテリジェントセンサーテクノロジーが主催したセミナー「第9回 戦略的商品開発イノベーションセミナー」(東京で10月24日に開催、大阪では11月21日に開催予定)で、さまざまな食品関連企業が味覚センサーの活用事例を紹介した。この幹部は、味覚センサーを市場分析や、これを生かしたおいしい商品の開発、さらには顧客との営業トークのツール、味を落とさずにコストを下げるためにも使っているという。

 セミナーでは、他にも興味深い活用事例が紹介された。コーヒーを扱う食品会社の三本コーヒーは、顧客のコーヒーショップに対し周囲にはない味のコーヒーを提供するように提案している。酸味と苦味で示したグラフに周囲の店舗の味をマッピングし、さらに有名チェーン店もマッピングする。その上で、これらのショップより、ずっと苦味を強調した味にしてはどうか、と持ちかけているのだ。特徴ある味のコーヒーで強く差異化することで、固定客をつかめる可能性があるという。