iPhoneは2007年1月9日、Macworld Expo 2007において発表されました。熱心なAppleファンであれば、自分がどこでiPhone発表のニュースを聞いたかを覚えているかもしれません。iPhoneに初めて電源を入れたときのことだったら思い出せる、というiPhoneユーザーもいるでしょう。iPhoneがスマートフォン(スマホ)時代の幕を開いてからわずか7年しか経っていません。しかし、すべてが変わってしまいました。

 現在では、日本の家庭の55%以上に少なくとも1台のスマホがあり、平均するとおよそ半分の家庭に2台のスマホがあります。日本のユーザーは平均して毎日135分以上もスマホの画面を見ていますし、世界でもスマホユーザーは1日に平均110回~150回もスマホの画面をチェックしていると言われています。

 2007年以来、5億台を超えるiPhoneが世界中で販売されました。スマホを含む携帯電話のユーザーは現在、40億人を超えています。通信システム向けICの出荷金額は、2013年に初めてコンピューター向けICを抜き、2014年には1070億米ドルに達すると予想されています。スマホは人々のライフスタイルだけでなく、IC市場の姿も根底から変えてしまったのです。

IoT市場は2020年には2.5兆米ドルに到達

 最近話題の「IoT」(internet of things)は、スマホに続いて、すべてをもう一度変えようとしています。私たちはiPhoneが登場した時と同じように、典型的なIoTデバイスの登場が「いつ」「どんな場所」だったかを記憶するようになるかもしれません。ただし、IoT時代は突然始まるのではなく、様々なデバイスがそれぞれ異なるスピードで徐々に市場へ広がっていく可能性が高いでしょう。

 確実なのは、エアコン、電球、炊飯器から、インターネットにつながった自動車、道路、家、都市などが、IoTによってすべて変わってしまうということです。IoTは半導体産業に巨大なチャンスをもたらします。英国の調査会社であるMachina Research社は、(彼らの言うところでのIoTである)「コネクテッド・ライフ市場」の規模が、2020年までに2.5兆米ドルに到達すると予測しています。