日本のメディアで最近、「シャオミ」「小米」という文字を見る機会が増えた。当コラムでも何度か取り上げた、「中国のアップル」ことスマートフォン(スマホ)の中国Xiaomi社(小米科技)のことである。SIMフリースマホ元年の日本では今年(2014年)、格安SIMカードとセットにした中国製スマホに触れることが増えている。Xiaomi社のスマホはまだ日本には上陸していないが、中国やネット通販で手に入れ、格安SIMを差して使っている読者も既にいるかもしれない。

 Xiaomi社が日本でも注目されているのは、新興ブランドながら出荷台数が急拡大しているため。調査会社の米Strategy Analytics社によると、Xiaomi社のスマホ出荷台数は、2013年第2四半期の410万台から2014年第2四半期には1510万台にまで拡大、世界シェアも1.8%から5.1%となり、堂々の世界第5位に躍進した。同社自身の発表でも2014年上半期の出荷台数は2611万台で、前年同期から271%増という驚異的な成長を見せたとしている。

 さて、飛ぶ鳥を落とす勢いを見せるXiaomi社に部品を納める供給業者は、どこもさぞ活況に湧いていることだろう、と想像するのはごく自然なこと。ところが最近、Xiaomi社に対するある部品の供給をほぼ独占している企業が経営不振に陥り、ついには会社更生法の適用を申請するところにまで追い込まれた。タッチパネルの台湾Wintek社(勝華科技)である。

 Wintek社は2014年10月13日、業績悪化を理由に台湾の地裁に会社更生法の手続きと、財産保全処分を申請すると表明した。翌10月14日付の複数の台湾メディアによると、同社は需要の伸び悩みから3年半にわたって赤字状態が続いていて、台湾のシンジケート団は借入金返済の先送りに同意していたが、中国のシンジケート団による督促を受け、会社更生法を申請した上で再建を目指すことを決断したという。