H/Wの楽しさに気づいて

 初めまして、私は筑波大学情報学群情報科学類3年の尾前侑佑です。愛知県の豊田工業高等専門学校(豊田高専)から3年次編入で筑波大学に入学しました。出身は「ヤマサのちくわ」で有名な愛知県豊橋市です。豊田高専情報工学科では5年にわたってプログラミングや電子回路などを勉強しました。5年次の卒業研究では、医療画像処理を研究していました。

 情報科学類では全学生が3年次に実験を履修することになっており、COJTはその候補の一つでした。COJTの他にも興味を引かれるものがたくさんありました。しかし、24時間利用可能な実験室や、実際の現場で活躍されている講師の方々などに魅力を感じてCOJTの履修を決めました。

医療画像処理に関する卒業研究
距離センサーを用いて人の姿勢の悪化を検知するシステム。画像右のグラフの線が人の姿勢の変化を示している。
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 COJTにはS/WコースおよびH/Wコースと二つのコースがありますが、私はH/Wに興味があったのと、S/Wに比べて独学が困難に思えたので、H/Wコースを選択しました。情報科学類では通常、3年次に半期で一つの実験講座を履修します。しかし、COJTは通年の講座なので、他の講座に比べて一つのテーマを深く勉強できることも魅力的でした。

 春学期では主に講師の方が作成された仕様書に基づいて回路設計を行っていましたが、直近の課題では自分で仕様書から作成・設計しました。小規模な回路ながら自分で設計することに楽しみを感じ、実験室に深夜まで籠って回路を設計しました。高専でもH/W記述言語のVHDLを学習していましたが、その頃に比べてH/Wの楽しさが分かるようになってきたと感じています。

 H/Wコースでは、秋学期の最後に自由課題として自分の好きな回路を作成します。私はマルチエージェントシステム*2や、遺伝的アルゴリズム*3などに興味があるので、それに関連したものを作成したいと考えています。

*2 マルチエージェントシステム 周りの状況から自身の行動を決定する複数のエージェントが相互に作用しあい、全体として複雑な現象を創発するもの。交通の流れや生物の群れの動きなどがマルチエージェントシステムでモデル化される。

*3 遺伝的アルゴリズム 生物の進化の過程を参考にした学習アルゴリズム。淘汰、交配、突然変異などのプロセスから成る。

 まだまだ技術的には未熟ですが、このコラムを通じて学生らしさも含めたCOJTを紹介していきたいと思います。読者の皆様、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。