先日、米Apple社が毎年恒例の新型iPhone発表会を開催しました。画面が大きくなった「iPhone 6」やファブレットと呼ばれるカテゴリーに属する「同6 Plus」、腕時計型端末「Apple Watch」など、発表内容自体は、ネットや海外の新聞での噂情報の通りで、新味がなかったというのが正直な感想です。日本では深夜2時からの発表ということもあり、リアルタイムでの発表会の視聴はあきらめましたが、早朝、2時間ほどかけて録画映像を見ました。

 その発表の中で、記者が最も気になったのが、「Apple Pay」でした。いわゆるApple版「おサイフケータイ」で、iPhoneやApple Watchを決済端末にタッチして支払いを完了できるというものです注1)

注1)正確にはオンラインコンテンツの購入やオンラインショップの物品購入にも、Apple Payは使えます。ここでは、分かりやすさを優先し、店舗の決済端末での支払いに限定して話をしています。

 サービス自体は日本では一般的なものですが、発表から読み取れなかったのが、その実現の仕組みです。Apple社 CEOのTimothy Donald Cook氏のプレゼンを要約すると、(1)全米の22万以上の店舗で使えるようになる、(2)クレジットカードをiPhoneで撮影し、裏面の3桁のセキュアコードを入力すればApple Payが使えるようになる、(3)iPhoneやApple社のサーバーにはクレジットカード番号が残らない、(4)iPhoneを盗まれても「iPhoneを探す」という機能を使って遠隔からその端末でのApple Payの利用を止められる、(5)Apple PayではApple社は購買履歴を取得できないし、それを商売にするつもりもない、(6)3桁のセキュアコードのような静的な認証コードではなく、トランザクションごとに動的な認証コードを生成することで安全性を確保する、といういう感じでしょうか。

 頭をひねりながら調べてみたところ、その概要が最近、分かってきたので、ここではそれについて書いてみたいと思います。