2014年度にトヨタ自動車が、2015年にホンダが発売する燃料電池車(FCV)の魅力は何でしょうか━━。走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない、1次エネルギーの原料が多岐に渡る、国内のエネルギー自給自足につながるといったことが良く挙げられています。ただ、これらは政府や提供者側の論理であって、消費者のメリットとしては弱い面もあります。

 FCVの量産が始まる2015年に向けて、特に水素ステーション事業者(自動車メーカーはもちろん)が注力するべきは、消費者に対して「水素はガソリンよりも安くなりそうだ」という姿勢を示すことだと考えます。経済性のメリットがないと、ユーザーにいくら提供者側のメリットを話しても説得力に乏しいためです。

 例えば電気自動車(EV)。初期費用は高価なリチウムイオン電池を使うため、相対的に高くなりますが、電気代はガソリンに比べて圧倒的に安いというメリットがあります。走行距離が長くなれば、初期投資が回収できるというストーリーが描けました。