さて、日本はどうするのでしょうか? 製造データは重要な機密情報のためデータを囲い込みがちですが、データを持っているだけでは宝の持ち腐れ。今は好調な製造業も、データを活用できるIT側の企業や研究機関との連携も必要でしょう。異業種や多くの機関が連携するために、国が先導する研究開発プロジェクトを活用することも有効でしょう。

 企業の内外に張り巡らされた様々な壁を破っていかないと、虎の子とも言うべき製造業が生き残ることが難しくなるのかもしれません。日本は一般消費者向けのITサービスやITを実現する基幹部品の半導体では、Google、Amazon、Apple、Facebook、Intel、Qualcommなどに負けてしまいました。もはやこうした企業と同じ土俵(市場)で戦うことは不可能でしょう。

 しかし、日本がいまだに強い製造業にはその業界特有の泥臭いノウハウや言語化しにくい暗黙知など、簡単には真似されない財産があると思います。Googleと正面から戦うのではなく、個々の製造業に特殊なノウハウや、高い安全性や信頼性、運用などの人間系に係る部分とIT技術を組み合わせることで、日本の製造業を強化することが必要ではないでしょうか。