「つなぐ技術」。日経BP社の技術記者200人が選んだ、「将来を担う技術」はこう総称できる。つなぐ技術の成否はデザインとそれを実現するソフトウエアにかかっている。

 社会や経営を変える、将来を担う技術を推薦してほしい。呼び掛けに応じて、200人が200の技術を挙げた。これは、日経BP社の技術専門記者200人によるプロジェクト「テクノインパクト2014」の一活動である。200件の中から「2015年に話題となる技術」と「社会イノベーションにつながる技術」をそれぞれ選び、2014年内に発表していく。

 下に列挙したのは、社会イノベーションにつながる技術の候補としてプロジェクトチームが選んだ60の技術群である。「応用技術」か「基礎技術」か、「個人を対象にした技術」か「社会を対象にした技術」か、という二軸で分けて配置してみた。さらに「その技術が実用される時期」を考慮し、実用時期が近いものを中央に近い内側に、実用時期が遠いものをより外側に、それぞれ配置してある。

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上の将来を担う技術のマトリクスの見方。応用/基礎、人/社会で整理した

 マトリクスの下段は応用技術の基盤となる基礎技術である。ICT(情報通信技術)とエレクトロニクス関連の大半を下段左に並べたが、これらすべてが個人向けの技術というわけではない。

 冒頭で紹介した「テクノインパクト2014」プロジェクトの狙いは、テクノロジーが社会や経営に与えるインパクトを広く発信することである。「広く」と言った場合、技術の専門家にとどまらず、企業や団体の責任者、新事業の創出を考えている幹部、技術の利用者まで含む。ここ数年、技術に対する信頼を揺るがす事件が相次ぐなど技術の問題が目立っているものの、社会や経営をより良くしていくために技術の開発とその利用はやはり欠かせない。それには多くの、そして多様な人々が技術に関わる必要がある。

傾向を把握できる、技術のマトリクス

 今後有望とみられる技術の大まかな傾向を多くの人が把握するために、先に掲載した「将来を担う技術のマトリクス」を利用できる。ICT、医療、電子、機械、建設といった分野を追う技術専門記者の頭の中を検索した結果の一端がマトリクスであり、多種多様な技術の世界を俯瞰できていると思われるからだ。

 ただし、どの分野の技術が有望か、あるいは個別技術のどれが本命か、ということまでは分からない。マトリクス内の技術を見ると、ICTや医療技術の数が多いが、これはその分野を担当する記者の数が多いからで、ICTや医療分野の技術が他分野より期待されているとは言い切れない。

 本稿では、技術の傾向を概観し、技術を使いこなすための注意点としてデザインとソフトウエアに触れる。個々の技術は解説しないので、技術の仕事をしていない方もぜひ読み進めていただきたい。技術の仕事をしている方は、専門外の技術を見渡し、「全体の傾向の中で自分の専門技術はどう位置付けられるか」と考えてみていただきたい。