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カリフォルニア州Folsomの太陽光発電システム(写真:Intel社)
カリフォルニア州Folsomの太陽光発電システム(写真:Intel社)
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ノースカロライナ州にあるデータセンターを稼働する20MWの太陽光発電施設(写真:Apple社)
ノースカロライナ州にあるデータセンターを稼働する20MWの太陽光発電施設(写真:Apple社)
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 2014年7月に発表されたあるランキングで、米Intel社が5年連続で1位に輝いた。それは、米国でのグリーン電力使用量のランキングだ。US Environmental Protection Agency (米国 環境保護庁)が、グリーン電力を社内で消費する企業を調査した結果に基づいている。この他に上位メーカーとして、米Google社、米Apple社などが並んでいる。

 米国では、社会的責任(CRS)の一環として、再生可能エネルギーを積極的に利用する企業が増えている。全ての使用電力を「再生可能エネルギー100%」にすると公約している企業も多い。今後も米国では、再生可能エネルギーを導入する企業がますます増えるだろう。

 日本では全量買い取り制度により、売電・収入目的で太陽光発電を設置する企業が多い。米国のリーディングカンパニーのように、自家消費用(自産自消)としての利用が増えるか、それとも電力自由化に伴って再生可能エネルギー発電所(IPPなど)からのグリーン電力の購入が増えるのか、今後の動きに注目している。

累計で124億kWhを購入


 グリーン電力は、太陽光や風力、地熱、バイオマス(生物資源)などの再生可能エネルギーにより発電された電力を指す。グリーン電力といっても、購入・供給するには数々の方法がある。(1)自社で再生可能エネルギー発電設備を有し(オンサイト)、発電分を自家消費に充てる、(2)再生可能エネルギー発電設備をリースする、(3)電力会社からグリーン電力を買う、(4)再生可能エネルギー発電所(IPPなど)と電力購入契約(PPA)を交わす、(5)環境価値(グリーン電力証書)を購入する、などだ。

 この(1)~(5)の電力量を合わせたグリーン電力使用量で、5年連続1位になったIntel社は、2008年からバイオガスと太陽光、風力で発生した環境価値を購入し始めた。2008年当時に28億kWhだったグリーン電力の購入量が、2013年3月には31億kWhに増加した。その結果、同社の米国での電力消費量の100%をグリーン電力で満たすに至った。累計では124億kWhのグリーン電力を購入している。これは年間で180万台の車からの排気ガスに匹敵する値である。

 さらにIntel社は、9カ所の研究所の敷地内に18の太陽光発電施設を建設している。SEIA(Solar Energy Industry Association:米国太陽光産業協会)とVote Solar Initiative(米国太陽光発電普及・促進NPO)が2013年末に発表した調査によると、Intel社はこれまでに約7MWの太陽光発電施設を導入したという。最大の太陽光発電施設は、同社のカリフォルニア州Folsomにある建物の屋上と駐車場に設置したもので、その規模は1MWになる。

 Intel社に次いで2位になったのは、衣料品小売大手の米Kohl’s Department Storeである。グリーン電力は、太陽光発電のみで構成している。年間の社内電力消費の105%を環境価値購入と太陽光発電設備の導入で賄っている。同社は「北米で最初に太陽光発電システムを100店舗に導入した企業(自家消費用)」であると、2010年に発表した。これまでにKohl’s Department Storeは、12の州に140の太陽光発電施設を設置し、その量は約45MWに達する。45MWは、同社の米国での電力消費量の12%に相当する。