イラスト:ニシハラダイタロウ
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 「波長が合う」と言うことがある。何かしら気が合ったときや、仕事を一緒にしていて妙に上手く行ったときに、「あなたとは波長が合いますね」という具合に使う。

 さて、波長とは電磁波や音波などの波動で、波の山から次の山、または谷から次の谷までの水平距離のことを言う。しかし、人間が電波を発するわけはないのに、このように電波で交信しているかのように感じるのはなぜだろう。最近、こんなことがあった。

 地方で知り合った、中小企業診断士の方である。「今度、地元企業の方々で事業組合を作ることになり、自分はそこの監査をすることになったのだが、多喜さんにその支援機関となって欲しい…」との依頼である。

 そこの地域には何の縁もゆかりもない私に、何でそのような大事な話が来るのか、とりあえず「私より他の方がいらっしゃるでしょうに」と断ると、「だって波長が合うのは多喜さんですから」と言われてしまったのである。こう言われると、二つ返事でやるしかない。波長が合うと言われれば、やるしかない。「波長が合う」は、私にとっては殺し文句なのだ。

 大袈裟に言えば、私は、この人と付き合うか付き合わないとか、その判断基準は波長であると思っている。なにっ、そんな単純なことで他人を判断してよいのか、そう言われる方も多いだろうが本当だ。これまでそうして来て間違いはなかったし、これしかないと思うのだ。