2014年5月26日、ホンダは2輪車「スーパーカブ」の形状が立体商標として登録されたことを明らかにした(登録番号5674666)。スーパーカブといえば、1958年の発売以降、50年以上にわたって世界中で売れ続けているベストセラーである。今回の立体商標登録によって、スーパーカブは「形状だけで識別できるほど独自性が高い」と認められたわけだ。

「スーパーカブ」の立体商標の公報に掲載されている写真
角度の異なる5つがある。

 立体商標とは、立体的な形状に関する商標である。商標と聞くと文字や図形などの平面的な商標(平面商標)が思い浮かぶが、1996年の商標法改正で立体的な形状についても登録制度が設けられた。立体商標を含む商標権は、権利者だけが商標を使用できる「専用権」や、権利者以外の他者による商標の使用を排除できる「禁止権」といった効力を持つ独占排他的な権利だ。スーパーカブという製品そのものの商標権を取得したことで、模倣品や類似品が市場に出回るのを防ぐ効果が見込める。

 立体的な形状の権利としては、他に意匠権もある。ただし、意匠権の存続期間は登録設定から20年と有限なのに対し、商標権は「事業者の営業活動によって蓄積された信用の保護を目的としている」(特許庁)ので何回でも更新登録が可能だ(1回の存続期間は10年)。更新料(一括払いの場合で4万8500円×区分数)さえ払えば永久に維持できる非常に強い権利なのである。