太陽光発電協会(JPEA)、全米太陽光発電協会(SEIA)、GTM Research社の公表値を基に著者が作成
太陽光発電協会(JPEA)、全米太陽光発電協会(SEIA)、GTM Research社の公表値を基に著者が作成
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米エネルギー省(DOE)の情報を参考に著者が作成
米エネルギー省(DOE)の情報を参考に著者が作成
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米国の29州でPACEファイナンスを利用できる(図:North Carolina State University)
米国の29州でPACEファイナンスを利用できる(図:North Carolina State University)
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新たな仕組みPACEとは

 最後にPACEファイナンスを説明する。PACE(発音はペイス)とは、property assessed clean energyの略語で、直訳すると「不動産と評価されたクリーンエネルギー設備」になる。これは簡単に言うと、融資額を固定資産税に上乗して返済する太陽光発電システムローンである。

 PACEは、家庭やオフィスの省エネ改修を促進し、エネルギーの節減とCO2排出削減を促進するために、2008年に設けられた地方自治体の制度である。PACEプログラムは、自治体が太陽光発電システムの購入コストを融資する。その後、住宅所有者が20年間などの長期間にわたって、固定資産税の上乗せ徴収という形で、太陽光発電に要した費用を支払うという仕組みである。

 市町村などの地方自治体がPACEファイナンスを提供するには、州が州法により適用対象となる市町村の区域を指定し、それに基づき地方自治体がPACE特別区域を設定する。そのPACE特別区域内に住む住宅所有者は、太陽光発電などのクリーンエネルギー設備を購入するときに、地方自治体に対してPACE債券の発行(ローン)を申請することができる。

 従来のローンとPACEに大きな違いが1つある。PACEファイナンスを受けている途中で、もし住宅を売ることになった場合、残りのローンや追加課税分は次の住宅所有者(家の新しい買い手)に移行される。従来のローンの場合、家を売っても太陽光発電システム購入者であるローン申請者がローンの返済責任があるのとは対照的だ。

 地方債によるPACEファイナンスは、2009年1月にカリフォルニア州バークレーで最初に始まった。今では29州でPACEファイナンスは州法によって利用できることになっている。PACEは住宅所有者のみならず、ビジネスなどの建物所有者(固定資産税納入者)も利用できる。これまでに2億米ドル以上が融資されたそうだ。太陽光発電システムの累積設置量がトップのカリフォルニア州では、2014年夏に新たに17の郡と107の市が参加する、住宅用のPACEファイナンスを展開する予定である。