「スマートシティ」構築に向けた取り組みの中には、人やモノの移動を最適化するという考え方がある。運行情報をタイムリーに知らせるなど情報発信を工夫することで、移動手段の利便性を高める。2020年の東京五輪開催を契機に、海外から多数の渡航者が見込まれる点においても、注目される取り組みといえる。

図1 JR東日本アプリの画面
[画像のクリックで拡大表示]

 移動手段を最適化する例としては、自動車のITS(高度道路交通システム)や、バスのロケーション通知が代表的だろう。同様に電車に関しても、安心して、より利用しやすくしようという取り組みがある。移動を支援する情報を駅から発信する、いわば「スマートステーション」だ。

 例えばJR東日本では、JR東日本研究開発センターのフロンティアサービス研究所を中心に、「Smart Station構想」を推進している。いくつものアイデアについて実証実験を重ね、2014年3月には、これまでの研究の成果の一つとして開発したスマートフォン(スマホ)向けアプリ「JR東日本アプリ」を公開した(図1)。

 利用者は、時刻表や運行状況、駅構内の施設案内などのほか、一部の路線については運行中の車両の位置、混雑具合、車両内の気温といった情報をいくつかのアプリで確認できる。