半導体の技術と業界の今と未来を、さまざまな視座にいる識者が論じる「SCR大喜利」。今回のテーマは「どうしたLED市場」である。SCR大喜利としては初めて、化合物半導体に関する話題を扱う。
LEDは、照明市場での電球や蛍光灯から置き換えが世界中で進むことを想定して、大きな市場の拡大が期待されてきた。地球環境保護の側面からも、電力料金削減の面からも、寿命が伸びることによる使い勝手の向上の面からも、その成長を疑う者はいなかった。ところが調査会社各社の市場調査の結果、2012年以降、照明向けを含めたLED市場全体の規模が約1兆4000億円で頭打ちになっていることがわかった。そして、今後も横ばいで推移するという予測が聞かれるようになった。
世界の照明市場は、現在のLED市場の約10倍はあるとみられる。LED照明への代替は、LEDメーカーの期待とは裏腹に進んでいない。LEDメーカー各社は、市場開拓の戦略を再考すべき時期にきていると言える。今回のSCR大喜利では、停滞するLED市場が再び成長に転じるための成長基軸や技術開発の論点を、照明向けLEDを中心に論じる。第1回は、GfKジャパン ホーム&リビング担当マネージャーの秋元穣和氏が、世界市場の中でも先進的と思われる日本の消費者の視点から論じる。
GfKジャパン ホーム&リビング担当マネージャー
【質問1の回答】節電意識の低下
東日本大震災を契機として盛り上がった節電意識は、ここにきてかなり薄れている。積極的な買い替え需要は低下し、故障などで買い替える通常サイクルの中での需要に落ち着いている。
電球の販売動向をみても、節電が喚起された震災直後の夏には一時的にLED電球の販売数が白熱電球を上回った。ところが、その後は白熱電球の販売数がLED電球を上回る状況が続いている。