メイウッド ソーラーファーム(写真:Hanwha Q CELLS社)
メイウッド ソーラーファーム(写真:Hanwha Q CELLS社)
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汚染サイトへのメガソーラーの導入可能潜在量(図:米国環境保護庁(EPA))
汚染サイトへのメガソーラーの導入可能潜在量(図:米国環境保護庁(EPA))
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カーニー ソーラーファーム(写真:SunDurance Energy社)
カーニー ソーラーファーム(写真:SunDurance Energy社)
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 米国では今、汚染された土地(汚染サイト)を、再生可能エネルギーの拠点として再活用しようという動きが活発になっている。米国環境保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)の調査では、米国にある汚染されたサイトへの、太陽光発電システムの潜在導入量は5.5GWを超えるという。汚染サイトの活用を目指して、電力会社も動き始めた。

RE-Powering America’s Land!

 EPAは、汚染された土地を浄化して、再生可能エネルギーを開発する「RE-Powering America’s Land」と呼ぶ活動を始めた。対象となるのは、「スーパーファンド」や「ブランフィールド」、自然保全再生法の対象地域、旧埋め立て処分地、採鉱現場などである。

 このうちスーパーファンドは、国が優先的に浄化する必要があると判断した、健康や環境にリスクを及ぼす恐れがある有害廃棄物によって重度に汚染されたサイトである。一方ブランフィールドは、汚染物質があるために、再開発などが難しくなっている土地を指す。

 スーパーファンドに設置したメガソーラーの中で最大のものは、インディアナ州インディアナポリスで2014年4月に運転を開始した「メイウッド(Maywood)ソーラーファーム」である。大手特殊化学品メーカーの米Vertellus Specialities社(VSI)が所有する土地に、韓国Hanwha Q CELLS(HQC)社が35年契約で設置した。最大出力は10.86MWになる。全体で120エーカー(1エーカーは約4000m2)ある土地のうち、43エーカーに3万6000枚以上の太陽電池モジュールを設置した。

 メイウッドソーラーファームはもともと、コールタールを精製する工場跡地だった。工場は1972年に閉鎖になり、地下水に汚染が見つかった。そして1980年代にEPAの監督下で、汚染土壌と地下水の浄化作業が始まる。EPAとHQC社が、汚染土壌の拡散を防ぐとともに、地盤を乱さない工法を生み出した(従来工法では浄化に約17万立方フィートの土の移動が必要だったが、新工法では約1万立方フィートまで減らした。1フィートは30.48cm)。

 メイウッドソーラーファームは、稼働と同時にHQC社から米PNC Energy Capital社に売却された。さらにその直後に、HQC社が太陽光発電所のリースを受ける「セール&リースバック」を利用している。発電した電力は、地元の電力会社Indianapolis Power & Light (IPL)社が、再生可能エネルギー買い取り制度を使って、0.20米ドル/kWhで15年間、全量を買い取る。15年後には、「IPLに引き続き買い取ってもらうか、VSIと電力購入契約(PPA:power purchase agreement)を結ぶかもしれない」(HQC社 マーケティングマネジャーのAude Schwarzkopf氏)という。

 スーパーファンドに設置した2番目に大きなメガソーラーは、カリフォルニア州ランチョコードヴァ地域(サクラメント近郊)にある6MWのメガソーラーである。この土地は、大手ロケット・ミサイル推進機器メーカーの米Aerojet社(本社:カリフォルニア州サクラメント)が、ロケットエンジンとロケット燃料の製造に使っていた。1983年に土壌と地下水に汚染が見つかって、スーパーファンドの指定を受けている。

 Aerojet社は、汚染された地下水をくみ出して処理するためのシステムを、敷地の境界に設置して汚染浄化に努めた。メガソーラーは、この地下水浄化システムに電力を供給するために建設したものである。2009年にメガソーラーの建設を始め、2010年4月に完成した。40エーカーの土地に、米Solar Power社の1軸式追尾型太陽光発電システム22台を設置している。発電量のうちの20%以上を、地下水の浄化に使っている。