先日、とある自動車ジャーナリストと雑談していた時のこと。「クルマとスマートフォンはどこか似ている」という話になった。

 例えばその購入方法だ。クルマといえば高額商品の代名詞のような気もする。しかし昨今は、残価設定ローンなどの登場で、数百万円台後半の高級車であっても、月々1~2万円程度の支払いで手に入る。これはスマホも同じ。定価10万円前後のiPhoneでも、通信事業者の奨励金や割賦販売などの組み合せによって実質0円で手に入る。

 モデルチェンジや製品開発の考え方にも類似点がある。クルマのモデルチェンジサイクルは概ね5~6年。一方で、そのライフサイクル全体の中でよく売れるのは新車発表当初からせいぜい半年程度だ。一見すると、効率の悪い商売だ。

 しかし実際は、様々な車種で広く共有されるプラットフォームを用い、デザインも乗り味も全く異なるクルマをメーカーは矢継ぎ早に投入している。そして前述の残価設定ローンなどを駆使し、消費者は大きな経済的な負担を感じることなく、3~4年ごとにクルマを買い替えられる。

 スマホもほぼ同様だ。ハイエンド機のモデルチェンジサイクルは1~2年。要素技術のコモディティー化とパッケージング技術の向上によって、ほぼ同じようなプラットフォームやデバイスから、多様な端末機種を生み出せるようになった。

 もちろん、価格帯、制約条件、資産価値などでクルマとスマホは異なる。しかし最も大きな共通点と言えば、特に先進国において、それを生活に必要とする人の元へ、おおむね普及したということではないか。