役に立つ商品を追求

 出資会社であるエヌウィックが開発し、大和ハウス工業が2013年1月から販売を開始した自動排泄処理ロボット「マインレット爽(さわやか)」も本格的な展開に向けて最終検証している。同ロボットは、介護が必要な人に紙おむつと同じ方法で専用カバーを装着してもらい、排泄した際におむつ内のセンサーが感知して、寝たままで排泄物の自動吸引と局部の洗浄・除湿ができる。

マインレット爽(写真:大和ハウス工業)
マインレット爽(写真:大和ハウス工業)
[画像のクリックで拡大表示]

 衛生的な介護環境を実現するため、排泄物を吸引し、洗浄水を加熱・送風する本体装置と、排泄物をためる衛生ユニットを分けた。介護人は、衛生ユニット内の排泄物タンクをトイレに持っていき、中身を捨てるのみで済むので、排泄物との接触がないのが特徴だ。超高齢社会の大きな社会問題の一つは、介護人の不足である。高齢者が高齢者を世話する老老介護も増えるだろう。だからこそ、こうしたロボットは世の中の多くの人々の役に立つ商品だ。

 実は、「マインレット爽」は自分でも実際に体験した。過去に体験したことがある社員3人に「どうやった?」と使用感を尋ねたら、3人とも「快適だった」と自信を持っていた。そこで、「大も小もやったんか」と聞いたら2人が小だけで、1人だけしか両方を経験していないという。だったら「俺も体験するわ」と東京本社の会長室の横の応接室を片付けて、ベッドにロボットを設置し、専用おむつを当ててもらって自分でも試してみた。

 その結果、大の場合にロボットの当たり具合や角度、強さに問題があると気付いた。女性は問題ないが、男性は余分なものが付いている分、何かうまくいかないようだ。そこで、きれいに洗い流し切れるように改良させている。
 現在、国内だけでも140万人の寝たきりの人がいる。使いやすいロボットを実現できれば、大いに役立つはずだ。今、モニター調査で貸し出しているが、利用している人からもお世話をしている人からも「もうこれが無かったらやっていけへん」と喜んでもらっている。大げさかもしれないが、世界で高齢化が進んで高齢人口が増えてくると、「マインレット爽」だけでも10兆円を売り上げられるのではないかと思っている。