事業力の法則を考える

 もう少し詳しく見てみましょう。

 私のコラムで何度か述べていますが、私は「事業力」を理解するために「事業力の法則」という考え方を提唱しています。私が「日経ビジネス ニュースを斬る」に執筆したコラム『偽ベートーベン問題に見る「よいものは売れない」論 事業力の法則を考える』から事業力の法則に関する記述を以下に引用します。

 私は事業力を以下のように捉えて「事業力の法則」と名付けています。

 「事業力」=「ビジネスプロデュース力」×「積み重ね要素力」

 この中でビジネスプロデュース力は、簡単に考えるとビジネスの仕組みを創り上げる力であり、ビジネス戦略構築力に他なりません。

 この戦略を具体化したものがビジネスモデルと考えてよいでしょう。そしてビジネスモデルには消費者との間に、「価値提供」と「消費者のニーズ」をうまくマッチングさせてつなぐ仕掛けが用意されています。

 つまり上の「事業力の法則」の公式は展開すると以下のようになります。

「事業力」=「ビジネスプロデュース力」×「積み重ね要素力」
=『「提供価値」×「消費者ニーズ」』×「積み重ね要素力」

 さて、この中の「積み重ね要素力」(私は簡単にコツコツ力と呼んでいます)は、企業にとって基礎的な事業力の根源です。しかしそれだけではなかなかビジネスを回すことができない性質も併せ持っています。例えばコツコツ力の要素には、技術力、製品力 (製品の優秀性)、実績、信用力、コネクション、優秀なコンテンツ、長期的な信用・信頼の基となるブランド、アイデア創造力、財務力、採用・教育が密接に関係する人事力などがあります。